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私の好きなパンクという音楽。今は昔ほど聴く時間が多くなくなりましたが、17、18歳の頃から40年以上、私の中で特別な場所にいるのがジョニー・サンダースです。
私を何度も救ってくれたのが、ジョニーの音楽でした。人生が不安定で、未来への不安や孤独感に押しつぶされそうな時も、あの無骨なギターと独特のヘナヘナした声を聴くと、不思議と「今を生きろ」と背中を押されるような気持ちになれたんです。
派手で格好いいのに、どこか影がある。強がっているようで、ふと弱さがのぞく。私がジョニーに惹かれ続けてきたのは、その矛盾がギターにも歌にも、そのまま出ているからだと思います。
あの美しいルックス。ギブソン・レスポール・ジュニアTVから繰り出されるザラッとしたギターサウンド。そして、その奥にある切なさと哀愁。40年以上経った今でも、ジョニーを聴けば、あの頃の自分に一瞬で戻れます。
この記事は、そんな私からジョニーへのラブレターであると同時に、「ジョニー・サンダースの名盤はどれ?」「最初の1枚は何を聴けばいい?」と迷っている人のための実用ガイドです。
結論から言えば、最初の1枚として私が推したいのは「IN COLD BLOOD」。ただし、「L.A.M.F.」「So Alone」「Hurt Me」「New York Dolls」まで聴くと、ジョニーの格好よさと危うさが一本の線につながります。
この記事でわかること
1. 先に結論|ジョニー・サンダース 名盤5選(迷ったらこの順でOK)
「どれから聴けばいい?」を最短で解決するため、まずは結論(名盤5枚)です。
本文では、それぞれの聴きどころや、当時の体験談も含めて深掘りします。
いきなり全部聴く必要はないです。あなたの今の気分に合うものからでOK。
むしろ“その日の体調”で刺さるアルバムが変わるのも、ジョニーの面白さかな
と思います。

迷ったあなたへ:気分別の“入口”早見表(ざっくりでOKです)
| 今の気分 | まず聴く1枚 | こういう聴 き方がハマりやすい | 次に行くなら |
|---|---|---|---|
| ロックンロールと美メロで一発キメたい | ① IN COLD BLOOD | 短い曲でも気にせず、まず通しで | ② L.A.M.F. |
| “名盤”の芯を体で理解したい | ② L.A.M.F. | 同じ曲を別ミックスで聴き比べ | ③ So Alone |
| ソロの“作り込み”を味わいたい | ③ So Alone | 歌のクセに慣れたら一気にハマる | ④ Hurt Me |
| 夜に静かに沁みたい | ④ Hurt Me | 小さめの音量+ヘッドホン推奨 | ① IN COLD BLOOD(戻る) |
| 原点の“ヤバさ”を見たい | ⑤ New York Dolls | 現行配信やリマスター盤から入る | ② L.A.M.F. |
※表はあくまで“迷子防止”用。あなたの直感を優先してOKです。
私のおすすめの聴き方(超ざっくり3ステップ)
① まずは配信で通し聴き(曲飛ばしOK)
② “好きな瞬間”だけメモ(サビでもギターでも声でも)
③ 次の日に同じアルバムをもう一回(刺さり方が変わること、けっこうあります)

2. ジョニー・サンダースとは
ジョニー・サンダース(1952年7月15日生まれ、ニューヨーク州クイーンズ出身)は、イタリア系移民の子として生まれたロックミュージシャンです。
本名はジョン・アンソニー・ゲンゼル。
「ニューヨーク・ドールズ」のギタリストとして注目を集め、脱退後はジェリー・ノーランらとハートブレイカーズを結成。ソロでも「So Alone」などを残し、パンク/ロックンロールの後続世代に大きな影響を与えました。
1991年4月23日、ニューオーリンズで38歳で死去。当時は薬物の過剰摂取が疑われたと報じられましたが、後年も白血病を含む健康状態や死の状況をめぐって複数の証言があり、この記事では死因を一言で断定しません。
(参考:Los Angeles Timesの1991年当時の訃報/Louderの2025年特集)
ジョニーは何が特別だったのか|経歴だけでは分からない3つの魅力

ジョニーって、経歴を覚えるだけだと正直ピンと来ないかもです。
大事なのは「この人、何を鳴らしてたの?」っていう空気感。
私の感覚で言うと、ジョニーの魅力はこの3つに集約されます。
- ギターが“上手い”より“刺す”:音の選び方がロックンロール寄りで、カッコつけがそのまま音になる感じです。
- 声が“弱そう”なのに“強い”:ヘナヘナしてるのに、なぜか芯が残る。ここがクセになります。
- 美しさと危うさが同居:ジャケット写真だけで惹かれる人、多いと思います。私もそのタイプでした。
ちなみに、生年月日や没年月日、本名などの基本情報は、できれば“公的な典拠”で確認すると安心です。
私はこういう時、図書館系の典拠データを見るようにしています。
(出典:米国議会図書館 LC Name Authority File(Thunders, Johnny))
名盤選びで迷いやすい理由
ジョニー・サンダースは、ニューヨーク・ドールズ、ハートブレイカーズ、ソロの3つの軸で重要作が分かれています。この記事では所属名義にこだわらず、私自身が長年聴いてきて「ジョニーの魅力が濃い」と感じる5枚を選びました。
ニューヨーク・ドールズ側からジョニーの入口を作りたい方は、代表曲や影響を深掘りしたこちらも参考になります:
ニューヨーク・ドールズの代表曲とパンクへの影響を徹底解説

3. ジョニー・サンダースが残したロック史に刻む名盤5選
ここからは5枚を1枚ずつ掘り下げます。単なる作品データではなく、私が実際にどの順番で出会い、どこに惹かれたのかも含めて書きます。「名盤だから聴く」のではなく、自分に刺さる入口を見つける参考にしてください。
3-1. ジョニー・サンダースの名盤 ① IN COLD BLOOD

私が初めてジョニーを聴いたのは、17か18の頃でした。
今から考えると、もう40年以上前。時間の流れって早いですね……(汗)。
まず何といっても、気だるそうで、私にはどこか淋しそうにも見えた、寝ぐせ?すら美しいあのルックスにやられました。
まさに「ジャケ買い」というやつです。
ヘナヘナしたボーカルと、轟音ギター。
そのセンス抜群としか言いようのないロックンロール、そして美しいバラードに、あっという間に引き込まれました。
当時私が聴いたのは、後から手に入れたオリジナルのライブ含み2枚組ではなく、スタジオ録音のみの、当時日本のSMSから出ていたミニアルバムでした。
曲数の少なさが、気の短い私にちょうど合っていて、何度も何度もターンテーブルに乗せたのを覚えています。
このアルバムが“入口”として強い理由(あなたがハマりやすいポイント)
「IN COLD BLOOD」が名盤として強いのは、ジョニーの魅力が“薄めずに”入ってるからです。
つまり、いきなり濃い。
ここがいいんですよ。
ギターは無骨で、音が太くて、でも決して上品には寄せない。
なのに、バラードはちゃんと胸に入ってくる。
ロックンロールの“勢い”と“寂しさ”が同じ皿に載ってる感じで、初めて聴いた時に「これ何?」ってなる人、けっこう多いと思います。
あなたがもし「パンクは好きだけど、ジョニーは初めて」なら、このアルバムは相性がいいはず。
理由はシンプルで、曲が短めだったり、ノリが直球だったりで、考える前に体が反応しやすいからです。
で、一回体が反応すると、次から“歌のクセ”にも慣れてきて、急に深く刺さってくるんですよね。
ここが怖い(笑)。
こんなあなたにおすすめ
・ジョニーを初めて聴く(どこから入ればいいか迷ってる)
・ロックンロールの“直球”が欲しい
・バラードでしんみりもしたい(でも重すぎるのは苦手)
最初の1枚だけ選ぶなら、私はやっぱりこれです。
配信で聴いて「この声とギター、なんか好きだな」と少しでも引っかかったなら、手元に残す1枚として「IN COLD BLOOD」を選んでいいと思います。40年以上聴いてきた私自身が、今からジョニーを聴く人に最初に渡したいアルバムです。
40年以上聴いてきた私が、最初の1枚に推したい作品。
Johnny Thunders『IN COLD BLOOD』
直球のロックンロールと哀愁、美しいバラードまでジョニーの魅力が凝縮。
「最初に何を聴けばいい?」と迷っている人に、まず手に取ってほしい1枚です。
※価格・在庫は変動します。最新情報は各販売ページでご確認ください。
※まず配信で試して、気に入ってからCD・レコードを選ぶのでも十分です。
聴き方のコツ(私がやってた“飽きない”回し方)
ここ、ちょっとだけコツがあります。
ジョニーって、気分に合うと無限に回せるんですけど、合わない日に無理に通すと「なんか今日は違う」ってなることもあります。
だから私はこんな感じで回してました。
- 1回目:とにかく通し(飛ばしてもOK)
- 2回目:ギターの音が気持ちいい曲だけ拾う(あなたの“好きな瞬間”を探す)
- 3回目:バラードっぽい曲を夜にまとめて聴く(ここで急に沁みること多いです)
それでも「どこが良いのか分からない…」って時は、たぶん“あなたの今”とズレてるだけです。
音楽って不思議で、半年後に聴いたら急にズドンと来ることがある。
私、何回もそれを経験してます。
あなたも焦らなくて大丈夫ですよ。
3-2. ジョニー・サンダースの名盤 ② L.A.M.F.
次に手に入れたのが「L.A.M.F.(Revisited)」でした。
結論から言うと、私はこの1枚でノックアウトされています。
ただただ「かっこいい」。
それで終わるはずなのに、聴き込むほどに不思議な気持ちになりました。
こんなに美しいルックスで、こんなに名曲ぞろいの作品が、なぜ「知る人ぞ知る」みたいな空気をまとっていたのか。
私の知る限り、ロックンロールアルバムの中でも屈指の名作なのに、です。
今や名盤の誉れ高いこのアルバムも、当時の私の体感では、まだまだ一部の愛好者に愛される陰日向の存在という印象でした。
それから何年か、頭の中はジョニサンだらけ。
女と遊ぶよりジョニー……と言いたいところですが、そもそも私が全くもてなかっただけなのですが(苦笑)。
当時東京新宿に住んでいた私は、気がつけば専門学校を辞め、レコード代を稼ぐため六本木まで行って飲み屋でアルバイトし、新宿西口のレコード屋めぐりに励みました。
ニューヨークドールズ時代も含め、片っ端からジョニー関係のレコードを買い漁ったんです。
「L.A.M.F.」はどの版を聴けばいい?|Found ’77 Mastersまで整理
「L.A.M.F.」は、同じアルバムなのに複数の版が並ぶため、初めて聴く人には少し分かりにくい作品です。しかも、この“版違い”には理由があります。1977年のオリジナル盤は、長く「ミックスが濁っている」と評されてきましたが、Jungle Recordsによれば原因はマスタリング工程の不具合でした。
その後、1984年の「Revisited」、1994年の「The Lost ’77 Mixes」などが登場。そして2020年、1977年当時のコピー・マスターが発見され、2021年に「L.A.M.F. – The Found ’77 Masters」として発売されました。つまり今は、当時バンド側が意図した音に近い形で1977年版を聴き直せる時代になっています。

私の結論:史実を確かめるなら「The Found ’77 Masters」は外せません。ただ、私自身が若い頃にノックアウトされたのは「Revisited」。資料としての基準と、自分の耳に刻まれた“好き”は別物です。そこは無理に一つに決めなくていいと思っています。
「L.A.M.F.」主要バージョンの違い
| 版 | 位置づけ | 聴きどころ |
|---|---|---|
| 1977年オリジナル | Track Recordsから発売。マスタリング不具合により濁った音で知られた | 当時のリリースそのものを知りたい人向け |
| Revisited(1984) | マルチトラックから再構成された版 | 私が若い頃に強烈にハマった、思い入れの深い版 |
| The Lost ’77 Mixes(1994) | 1977年のアウトテイク・ミックスをまとめた版 | 曲そのものの勢いと別ミックスの面白さを味わえる |
| The Found ’77 Masters(2021) | 2020年に発見された1977年のコピー・マスターを使用 | 2026年時点で、1977年当時の意図に迫るうえで重要な版 |
「L.A.M.F.」は、買う前に“どの版か”だけ確認してください。
初めて1枚を選ぶなら、私自身が若い頃にノックアウトされたのは「Revisited」。そのあとThe Found ’77 MastersやLost ’77 Mixesを聴き比べると、このアルバムの面白さがさらに分かります。
若い頃の私をノックアウトした、思い入れの深い「L.A.M.F.」。
Johnny Thunders『L.A.M.F. Revisited』
史実を確かめるなら「The Found ’77 Masters」。
でも、私自身の原体験として外せないのが、この「Revisited」です。
※価格・在庫は変動します。最新情報は各販売ページでご確認ください。
※購入時は商品名・収録内容を確認し、「The Found ’77 Masters」か、希望するバージョンかを確かめてください。
私がこの作品で“人生がズレた”話(大げさじゃなく本当)
私ね、この頃ほんとにジョニー中心で生活が回ってたんです。
レコード屋を回って、見つけたら買う。
見つからなかったら次の店へ。
今思うと、よくそんな体力あったなって思うけど、そのくらい“欲しかった”。
で、「L.A.M.F.」を聴くと、当時の焦りとか、なぜか分からない不安とか、そういうのが一回リセットされるんですよ。
ギターの音が「ほら、今ここだよ」って言ってくる感じ。
あなたがもし今ちょっと疲れてるなら、こういう“強制的に現在地に戻す音”って助けになるかもです。
あと、これは好みなんですが、「名盤」って“完璧”じゃなくていいと思ってます。
むしろ歪みやムラがあるほど、人間っぽい。
ジョニーの魅力って、きれいに整ってないところにもあるから、あなたが「雑さも含めて好き」って思えたら、その時点で勝ちです。
パンクの“基礎体温”を別軸で掴みたい方は、同時代の座標としてこちらも役立ちます(聴き比べが一気に楽になります):
セックス・ピストルズ『Never Mind the Bollocks』全曲レビュー

3-3. ジョニー・サンダースの名盤 ③ So Alone

豪華ゲストを迎え、ジョニー本人も真剣に取り組んでいるのが感じられる(笑)。
ソロでは最高の一枚だと思います。
「So Alone」は1978年にSireから発表されたソロ・デビュー作。プロデュースはスティーヴ・リリーホワイトで、クリッシー・ハインド、スティーヴ・マリオット、フィル・ライノット、セックス・ピストルズのメンバーらが参加しています。豪華さが目的ではなく、ジョニーのロックンロールを太く見せるためにゲストが機能しているのが、このアルバムの強さです。
ソロで迷うあなたへ:「まずこれでいい」って言える理由
ジョニーのソロって、作品によって温度差があるんですよね。
だから「何からいけばいい?」って迷うの、めちゃ分かります。
そんな時に「So Alone」は強い。
理由は簡単で、“作品としてのまとまり”があるからです。
ジョニーの良さ(ロックンロールの匂い、ちょっと切ない声、ギターのガリッとした感触)がちゃんと出ていて、なおかつ“ソロとしての見せ方”もある。
つまり、あなたが初めて聴いても置いてけぼりになりにくいんです。
それと、「豪華ゲスト」と言われると身構えちゃう人もいると思うんだけど、ここは大丈夫。
ゲストの存在がジョニーを食うというより、ジョニーの輪郭をくっきりさせる方向に効いてる感じです。
あなたが「ジョニーの声のクセ、ちょっと不安だな」って思ってても、音の土台がしっかりしてるので入りやすいですよ。
“動くジョニー”をセットで味わうと、刺さり方が加速します
動くジョニーといえば「Dead or Alive」という、ハートブレイカーズ再結成時のロンドン・ライシアムボールセンターでのライブ映像。
私はこの映像が“セット教材”みたいな存在でした。
「So Alone」と同じくパイプラインから始まることに、私は毎回興奮します!
ここ、あなたもアガると思うんですよ。
イントロの時点で「はい来た」ってなるやつです。
ちょうど同じ頃に購入したベータのビデオソフトは、当時の値段で12,800円。
高っ!
でも、あの頃って“高い=覚悟が決まる”みたいなところがあって、買った瞬間から思い出がセットになるんですよね。
酔っ払って途中で倒れ込んじゃうのは、ギターのウォルター同様、呆れるしかないのですが……それでも格好いいって、今考えると意味わかんないですね(笑)。
でも、当時の私は本気で「うわ、カッコいい…」って思ってました。
理屈じゃないんですよ。
こういう“理屈が負ける瞬間”が、ジョニーの魅力だと思います。
相変わらず私のジョニー熱は続き、来日すればライブ通いを続けました。
……と言っても、日本青年館しか行っていないのですが(汗)。
当時はアルバイト代のほとんどを、ジョニーやパンクのレコードに費やしていました。
そして「ジョニサン・ベスト」と勝手に銘打ち、頼まれもしないのに友達にダビングしたカセットを配っていたんですよね。
今思うと、友達は「また来た…」って思ってたかもしれないけど(笑)、それくらい“好きが漏れてた”時期でした。
あなたが「So Alone」でハマりやすい聴きポイント
・“声のクセ”に慣れるまで、音量は少し小さめでOK
・ギターの“間”に注目(弾き倒すより、置き方がカッコいい)
・一回通したら、次は“好きな曲だけループ”が正解です
ジョニーのファッションを語るなら、Lewis Leathersの「No.441 CYCLONE」も外せません。Lewis Leathers Japanも、Johnny Thundersがこのモデルを着用していたことで有名だと紹介しています。
(参考:Lewis Leathers Japan「No.441 CYCLONE」)
Lewis Leathersのお手入れ方法について詳しく知りたい方は、私の運営する別サイトから、以下の記事をご覧ください。

3-4. ジョニー・サンダースの名盤 ④ Hurt Me

アンプラグドが大きなブームになる前に、ジョニーはほぼ全編をアコースティックで押し切る「Hurt Me」を残していました。1983年秋にパリで録音され、1984年にNew Roseから発表された作品です。派手なバンド・サウンドを削ったぶん、声とギターの危うさがむき出しになっています。
「Hurt Me」は夜に聴くと、声とギターの生々しさが残る
「Hurt Me」は、派手な盛り上がりで押し切る作品ではありません。音数が少ないぶん、ジョニーの声の揺れ、ギターに触れる強弱、息づかいまで近く感じます。
私はこういう“人間っぽさ”が、この作品のいちばんの魅力だと思っています。聴き込むほど良くなるタイプで、特に夜、小さめの音量で聴くと沁みるんですよね。
友達が泊まりに来ると、私はよく子守唄がわりにこのアルバムをかけていました。音が押しつけてこないのに、ちゃんと存在感がある。あの“安心できる温度”は、今聴いても変わりません。
夜に沁みさせる聴き方(おすすめ)
① 音量は小さめ(“近さ”が出ます)
② できればヘッドホン(ギターの指の動きが見える感じ)
③ 寝る前に1回だけ通す(回しすぎると逆に眠れなくなることも)
もちろん非公式音源にも手を出した話(※当時の思い出として)
もちろん非公式音源にも手を出しました。
ここからは当時の私の“日常の1ページ”として読んでください。
おすすめしたい、正しい、という話ではありません。
ある日、某老舗の有名ショップ「新宿レ○ード」ってところで、怪しげなモノクロコピーの殴り書き(だったと思う。今は紛失したので)レーベルがついていたカセットを、悩んだ挙句購入しました。
すると帰り際、店員同士でこそこそと「なんか罪の意識感じるなぁ〜」と言っていたのを、
なぜか妙に覚えています。こういう一言って、場の空気ごと頭に残るんですよね。
買った瞬間にテンション上がってるのに、背中がちょっと冷える感じ。
不安70%、期待30%で、1時間ほどかけて自宅に帰って聴いてみたら、なぜかジョー・ストラマーの声が……!
私はクラッシュも好きです。
好きなんですけど、今ここで欲しいのはジョーじゃない。
頭の中で「え?」が何回も鳴りました。
嬉しいはずなのに、状況が違いすぎて混乱するというか。
あなたもたぶん、似た経験あると思います。
「それはそれで好きだけど、今じゃない」ってやつ。
気の弱い私は、そのカセットを静かにライブラリーの棚に収納しました。
つーか、少しでも非公式音源に手を出した人ならわかる、ごくありふれた日常の1ページだと思いますけどね。
結局、ああいうのって“武勇伝”じゃなくて、後味も含めて記憶に残るんです。
3-5. ジョニー・サンダースの名盤 ⑤ New York Dolls

さかのぼる形で、ニューヨーク・ドールズです。
昔のレコードは、確かに悪評通りくぐもった音で欲求不満でした。
頼むよ、トッド・ラングレン……と心の中でツッコミを入れたのを覚えています。
今はリマスター盤や配信でも聴けるため、昔の盤より輪郭を追いやすい選択肢があります。日本では2010年リマスター音源を使った再発盤も出ており、1973年のトッド・ラングレン・プロデュースによる1stアルバムとして改めて聴くと、ギターの荒さと曲の強さがよく分かります。
私にとっては、やはり名盤です。
2025年には、ヴォーカルのデヴィッド・ヨハンセンも75歳で亡くなりました。オリジナル・メンバーは全員この世を去りましたが、アルバムを再生すれば、50年以上前とは思えない乱暴な生命力がまだ残っています。歴史資料としてではなく、今も普通に格好いいロックンロールとして聴いてほしい1枚です。
ドールズを今から聴くなら|リマスター盤から入ってもいい
ニューヨーク・ドールズは歴史の教科書のように語られがちですが、私は「今聴いて気持ちいいか」が一番大事だと思っています。初めて触れるなら、まずリマスター盤や現在の配信で曲そのものを掴む。そのあと古い盤へ戻って、当時のざらつきや音の塊を楽しむ。そんな順番でもまったく問題ありません。
ドールズを初めて買うなら、無理に古いオリジナル盤を探さなくて大丈夫です。
まずは音の輪郭を追いやすいリマスター盤や現行盤で、曲そのものの強さを聴いてみてください。そこで「このギター、やっぱりヤバい」と感じたら、そのあと古い盤へ戻る。私はその順番でも十分ジョニーの原点を楽しめると思います。
ジョニー・サンダースの“原点”を知るなら、まずこの1枚。
New York Dolls『New York Dolls』
1973年に放たれたニューヨーク・ドールズの1stアルバム。
ジョニーの荒々しいギターと、50年以上経っても色あせないロックンロールの生命力を味わえます。
※価格・在庫は変動します。最新情報は各販売ページでご確認ください。
ここから「L.A.M.F.」へ進むと、ドールズ時代のジョニーがどう変わっていったのかが、一気につながってきます。
“くぐもり問題”を避けるための、音源の選び方(ざっくり)
| あなたのタイプ | おすすめ | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 初めて聴く/ストレスなく入りたい | 現行配信/リマスター盤 | 輪郭が見えやすい、グルーヴが掴みやすい | 高音が強めに感じる場合も(あなたの環境次第) |
| 当時の空気を吸いたい/音のクセも含めて楽しみたい | 古い盤/原音寄り | “生っぽい”ざらつきが残る | くぐもりが苦手だと疲れる日もある |
※あなたの再生環境(イヤホン/スピーカー)でも印象が変わります。
ジョニーの“原点”としてのドールズ(ここが熱い)
ドールズを聴くと、ジョニーの“原点のヤバさ”が見えます。
ギターって、テクニックの見せ場よりも「どういう空気を作るか」が重要な場面があって、ジョニーはそこが抜群に上手い。
派手なフレーズじゃなくても、“一音の置き方”で色気が出るタイプなんですよ。
だから、ドールズを先に聴いておくと、次に「L.A.M.F.」やソロを聴いた時に「あ、これドールズの匂いだ」って繋がる瞬間が増えます。
あなたが“点”で聴いてたものが“線”になる感じ。ここが気持ちいいんです。
同時代の“パンクの地図”をもう少し広げたくなったら、こちらも入口としておすすめです:
ザ・クラッシュ『ロンドン・コーリング』を全ロックファンが聴くべき理由

4. ジョニー・サンダースの名盤 まとめ
でも、この人は寡作な人なので、ある時期から私は聴かなくなりました。どんなに好きでも、違うライブ音源が出ても基本的に曲が同じだと、どうしても飽きてしまうんですよね。
ここ、ちょっと正直な話をすると、私の飽きっぽさもあると思います(笑)。でも、好きなものって“好きなまま距離が変わる”ことがあるじゃないですか。嫌いになったわけじゃないのに、生活が変わって、聴く頻度が落ちる。ジョニーはまさにそれでした。
そんなこんなで帰郷し、日本盤は購入していたが、私の興味は違うところに移っていました。あんなに大好きだったのに。なんて薄情なんだろう、と自分で思います。
訃報を知った日|破滅を美談にはしない、それでも音は残る

そんなある日、ジョニーの訃報を知りました。1991年4月23日、ニューオーリンズ。38歳でした。当時は薬物の過剰摂取が疑われたと報じられましたが、後年の証言では白血病を患っていたことも語られ、死の正確な経緯については今も断定しきれない部分が残っています。
若い頃の私は、そんな最期まで含めて「彼らしい」と受け止めていたところがありました。でも今は、破滅そのものを格好いいとは思いません。格好いいのは、残された音の方です。
ジョニーには、どうしても「破滅型ロックスター」という伝説がまとわりつきます。けれど、40年以上聴いてきた今の私が残したいのは、ドラッグの逸話ではありません。無骨なのに切ないギター、弱々しいようで芯のある声、そして「You Can’t Put Your Arms Around a Memory」や「Sad Vacation」のように、年齢を重ねてからの方が沁みる曲です。
命日(4月23日)に聴いてしまう曲
でも命日の4月23日になると、Sad Vacation(シド・ヴィシャスに捧げたレクイエムとされる曲)を聴いてしまうんですよね、これが。
“毎年必ず”ってほど律儀じゃないんだけど、ふとカレンダーで気づいた瞬間に、勝手に手が伸びる感じです。追悼って、立派な言葉じゃなくてもいいと思ってて。「聴いてしまう」くらいの小さな行為でも、私にとっては十分な弔いなのかなと思います。
この記事を読み終えたあなたへ(次にやること)
・まずは上の5枚のうち、気になった1枚だけ再生
・「好きな瞬間」があったら、そのアルバムをもう一回だけ通す
・それでも足りなかったら、別ミックスやライブに手を伸ばす(沼へようこそ)





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