こんにちは、ジェネレーションBのTAKUです。
「RAPEDって、いったい何者なんだ?」。
名前だけ見れば、1970年代パンクが競い合ったショック戦術の極端な例に見えますよね。
ただ、このバンドを名前だけで片づけると、かなり大事なところを見落とします。
RAPEDは、グラムロックのけばけばしさと初期UKパンクの荒さを同じ場所に持ち込み、しかも16歳で渡英した日本人ドラマー、パディ・フィールドがその真ん中で叩いていた異色のバンドです。
さらに面白いのは、RAPEDが短命に終わって消えたのではなく、1979年にCuddly Toysへ名前を変え、音楽性を広げながら次の時代へ進んだこと。
この記事では、RAPEDのメンバー、作品、日本人ドラマーの存在、Cuddly Toysへの改名、そして今どこで聴けるのかまで一気に追います。
この記事でわかること
- RAPEDがどんな英国パンクバンドだったのか
- 日本人ドラマー、パディ・フィールドの経歴
- Cuddly Toysへ改名した理由と音楽性の変化
- 現在聴ける音源と買える再発盤の選び方
1. RAPEDとはどんなバンドか
1-1. ロンドンで生まれた異端児
RAPEDは1976年から1977年ごろのロンドンで形になり、1977年から1978年にかけて活動したバンドです。
資料によって結成年の表記に多少の揺れがありますが、少なくとも英国パンクが爆発した時期の真っただ中で動いていたことは間違いありません。
中心メンバーは、ショーン・パーセルがボーカル、フェイビアン・クウェストがギター、トニー・バゲットがベース、そしてパディ・フィールドがドラム。
| メンバー | 担当 | ポイント |
|---|---|---|
| Sean Purcell | ボーカル | 強い演劇性を持つフロントマン |
| Faebhean Kwest | ギター | グラムや初期パンクをつなぐ中心人物 |
| Tony Baggett | ベース | 初期ラインナップを支えたベーシスト |
| Paddy Phield | ドラム | 16歳で渡英した日本人ドラマー |
後世から見ても一目で「パンク」と分かる型とは少し違います。
むしろRAPEDには、グラムの匂いが濃い。
化粧、派手な服、両性具有的なイメージ、演劇的な見せ方まで含めてバンドだったわけです。
このあたりは、ニューヨーク・ドールズがパンクへ与えた影響を知っていると、かなり理解しやすくなります。

1-2. 名前だけでは本質が見えない

もちろん、RAPEDというバンド名は当時でも問題を起こしました。
レコード店やプロモーター、メディアから敬遠され、出演や流通の壁になったことが複数の当時資料や関係者インタビューで語られています。
過激な名称や作品タイトルを、いまの感覚で無条件に持ち上げる必要はありません。
一方で、名前への拒絶だけで音楽まで聴かずに終わると、グラムからパンク、さらにニューウェイヴへ移る時代の面白い接点を見逃します。
目立つのは名前です。でも、このバンドを今聴く理由は名前ではなく、パンクがまだ一つの型に固まる前の混ざり方にあります。
2. 日本人ドラマーのパディ
RAPEDを日本から振り返るなら、パディ・フィールドの存在は外せません。
むしろ私は、ここからこのバンドに入るのが一番面白いと思います。
2-1. 16歳でロンドンへ渡った

パディ・フィールドは日本人ドラマーで、1977年に16歳でロンドンへ渡った人物として、日本のインタビューでも紹介されています。
インターネットもSNSもない時代に、まだ十代の日本人がパンク勃発直後のロンドンへ行き、そのまま現地のバンドに入る。
これだけでも十分にすごい話です。
ロンドンのパンク初期に、日本人ミュージシャンが「海外から見学に来た人」ではなく、実際にドラムを叩くメンバーとしていたことに意味があります。
2-2. グラムの視覚性を背負った
パディは、RAPEDの見た目を語るときにも必ず名前が出てきます。
派手な髪色、ハイヒール、タイツ、ホットパンツ。
当時の写真や回想を追うと、いわゆる「男臭いストリートパンク」とは明らかに方向が違うことが分かります。
ただ奇抜だった、で終わらせると浅い。
RAPEDがグラムの美学を引きずりながらパンクへ入ってきたことを、パディの存在そのものが視覚化していたんです。
RAPEDは、その残り火を1977年のパンクへ持ち込んだバンドの一つと見るとしっくりきます。
2-3. その後も音楽を続けた
パディの物語はRAPEDで終わりません。
Cuddly Toysでも活動し、その後はPanacheへ進みました。
いったん音楽シーンを離れた時期を経て、2000年代に再び音楽へ戻り、日本ではCuddly ToyZとして活動を再開しています。
◆TAKUのひとこと
3. パンクとグラムの間にいた
3-1. パンクだけでは説明できない

1977年の英国パンクというと、短い曲、歪んだギター、反権威、ストリート感というイメージが強いですよね。
もちろんRAPEDにも、その荒さはあります。
ただ、彼らはそこへグラムのけばけばしさと芝居っ気を持ち込んでいる。
資料でも「glam-influenced punk」「glam-shock punk」といった説明が繰り返し使われています。
だから、セックス・ピストルズの一直線な圧力だけを基準にすると、RAPEDは少し軽く、少し派手で、少しふざけて聞こえるかもしれません。
1977年の中心を確認したい方は、セックス・ピストルズ『勝手にしやがれ!!』全曲レビューと並べて読むと違いが見えます。

3-2. 反マッチョの空気もあった

ギタリストのフェイビアン・クウェストは、後年のインタビューでRAPEDを、パンク内にあったマッチョな身振りへの対抗として説明しています。
パンクそのものが既存のロックへの反抗だったのに、そのパンクの中にもすぐ「パンクらしさ」という型が生まれる。
RAPEDは、その型にも素直には入らなかった。
化粧をして、派手に着飾り、グラムを隠さず、性的なイメージもわざと揺らす。
服装や振る舞いまで表現だった当時のパンクにあっても、RAPEDはかなり異質な存在でした。
RAPEDは、その文化の一番扱いにくい端にいたバンドだったのでしょう。
4. RAPEDが残した音源
では、実際に何を聴けばいいのか。
RAPEDは活動期間が短いため、オリジナル期の公式音源は膨大ではありません。
逆に言えば、入口はかなり分かりやすいです。
4-1. 最初のEPとシングル
1978年、Parole Recordsから4曲入りEP『Pretty Paedophiles』が出ました。
続いて同年、『Cheap Night Out』のシングルを発表しています。
この2作がRAPED名義の核です。
当時の大手レーベルにきれいに回収されたバンドではなく、独立系のParoleから出していた点も初期パンクらしい。
そして、この2枚だけを追うより、その後にまとめられた編集盤でデモやライブまで聴く方が、今のリスナーには現実的です。
4-2. まず聴くならこの5曲
初めてなら、私は次の順番をすすめます。
| 順番 | 曲 | ここを確認 |
|---|---|---|
| 1 | Moving Target | RAPEDの入口として全体像をつかむ |
| 2 | Escalator Hater | 短く切り込む初期パンクの勢い |
| 3 | Normal | 現在まで演奏される代表的レパートリー |
| 4 | Cheap Night Out | 1978年シングル期のバンド像 |
| 5 | L-O-N-D-O-N | ライブ音源を含む別の表情 |
2026年9月15日時点では、Amazon Music Unlimited、SpotifyでRAPEDの『The Complete Collection』が確認でき、Apple Musicにも同名コレクションと主要曲が掲載されています。
「Moving Target」「Escalator Hater」「Normal」「Cheap Night Out」などのスタジオ音源に加え、デモやライブ音源までまとめて追えます。
初めて聴くなら、まず配信の『The Complete Collection』で十分です。
数曲聴いてグラム混じりのパンクが自分に合うと感じたら、そのままデモやライブまで進んでみてください。
最初から希少なオリジナル7インチを探す必要はありません。
配信で気に入ってから、編集盤や再発盤を探す。
私はこの順番が一番無駄がないと思います。
※配信状況は記事執筆時点の情報です。最新の配信有無は各サービスで確認してください。
4-3. 2024年盤は物として面白い
2024年には、Puke N Vomitから『Escalator Hater 1977-1978』が発売されています。
カタログ番号はPNV 212、LP+ブックレット仕様。
初期スタジオ録音、デモ、ライブを16曲収録し、RAPED期をまとめて追える再発盤です。
RAPED期の音源をアナログでまとめて追いたい人におすすめです。
※価格・在庫・仕様は変動します。購入前に販売ページで最新情報をご確認ください。
5. Cuddly Toysへの改名
RAPEDは非常に刺激の強い名前ですが、Cuddly Toysは「かわいいぬいぐるみ」といった意味。
イメージが180度違います。
でも、これは単なる看板の掛け替えではありませんでした。
5-1. ジョン・ピールの提案
関係者インタビューによると、BBC Radio 1のDJだったジョン・ピールが、RAPEDとは正反対の無害な名前として「Cuddly Toys」のような案を出したことが改名のきっかけになりました。
ジョン・ピールはRAPED時代の音源も番組で流していた人物です。
RAPEDは1978年のクリスマスごろ、ベルファストでRudiと共演したライブを最後に旧名での活動を終え、1979年にCuddly Toysとして本格的に動き出します。
過激な名前がブッキングやエアプレイの障害になっていた以上、改名は現実的な選択でもありました。
5-2. 音楽まで変わっていった

大事なのはここです。
RAPEDからCuddly Toysへの変化は、「危ない名前をかわいい名前に変えただけ」ではありません。
グラムの要素をさらに前へ出し、キーボードを加え、ニューウェイヴへ接近していきます。
パンクの短い爆発から、もっと芝居がかったポップ、グラム、シンセを含む世界へ。
二つを続けて聴くことで、1970年代末のロンドンがパンクからポストパンク、ニューウェイヴへ動いた時代そのものが見えてきます。
5-3. 日本先行のデビュー盤
Cuddly Toysの『Guillotine Theatre』は、日本で1979年に先行して世に出た作品です。
日本ではテイチク系のOverseas Recordsから紹介され、その後に英国版が出ました。
ここでもパディの存在が大きい。
日本人ドラマーがいるというだけでなく、本人が日本側との接点を作ったことが、バンドの展開に結びついています。
そして代表曲として外せないのが「Madman」。
この曲は、もともとスティーヴ・ハーレイとマーク・ボランが作り始め、その後デヴィッド・ボウイも制作に関わった楽曲です。
マーク・ボランからラフなデモテープを受け取ったRAPEDのフェイビアン・クウェストとショーン・パーセルが曲を仕上げ、Cuddly Toys名義で録音しました。
Cuddly Toys版は1980年に英国インディーチャート19位を記録しています。
RAPEDの荒い初期音源から続けて「Madman」を聴くと、「ああ、こういう場所へ行きたかったのか」と見えやすい。
パンクを捨てたというより、もともと持っていたグラム趣味を全面に出した、と考えた方が自然です。

6. 2026年再発盤が面白い
2026年のRecord Store Dayでは、Cuddly Toysの『Guillotine Theatre』がJungle Recordsから2LPで再発されました。
赤盤・帯付き、カタログ番号はFREUDLP147。限定1000枚として案内され、日本盤ミックスや英国版に収録されなかった曲、1980年のデモ音源などを追加した拡張版です。
RAPEDからCuddly Toysへ移ったあと、パンク色の強い音からグラムやニューウェイヴへ広がっていく変化を追える内容になっています。
単なる復刻盤というより、RAPEDの続きを聴くための一枚と考えると分かりやすいでしょう。
Amazonや楽天などで探す場合は、FREUDLP147/2LP/赤盤/帯付きの仕様を確認してください。価格と在庫は変動するため、購入前に最新情報をご確認ください。
7. RAPEDをどう評価するか
ここまで追うと、RAPEDの見え方はかなり変わると思います。
名前だけなら、悪趣味な一発ネタ。
でも、実際はそれだけではありません。
歴史を変えた大物ではない

先に言っておくと、RAPEDをセックス・ピストルズやザ・クラッシュと同格の「歴史を変えた超重要バンド」と持ち上げる必要はありません。
商業的な規模も、後世への影響力も違います。
ここを大げさにすると、逆にこのバンドの面白さが薄れます。
RAPEDの価値は中心ではなく、周縁にいたことです。
大きな歴史からこぼれやすいバンドを追うと、当時のシーンが急に立体的になる。
同時期の若いパンクを掘るなら、ジェネレーションBのEaterというバンドの存在も合わせて読むと、77年パンクが一枚岩ではなかったことがよく分かります。

8. 現在の聴き方と買い方

最後に、2026年9月15日時点での現実的な入口をまとめます。
| 目的 | 候補 | おすすめ度 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| まず聴きたい | RAPED『The Complete Collection』配信 | 最優先 | 配信地域・掲載状況は変動 |
| RAPEDを盤で持ちたい | 『Escalator Hater 1977-1978』 | 高い | PNV 212を確認 |
| 改名後まで追いたい | Cuddly Toys『Guillotine Theatre』 | 高い | 版によって収録内容が違う |
| 2026年の再発が欲しい | 『Guillotine Theatre – RSD 2026』 | コレクター向け | FREUDLP147、2LP仕様を確認 |
※中古価格、在庫、配信状況は動きますので、購入前には必ず最新情報を販売店や各配信サービスで確認してください。
8-1. RAPEDに関するよくある質問(FAQ)
- RAPEDはどこの国のバンドですか?
-
ロンドンを拠点に活動した英国パンク/グラム系のバンドです。初期メンバーには日本人ドラマーのパディ・フィールドが在籍していました。
- 日本人ドラマーは誰ですか?
-
パディ・フィールドです。1977年に16歳でロンドンへ渡り、RAPED、Cuddly Toys、のちにPanacheでも活動しました。
- なぜCuddly Toysへ改名したのですか?
-
RAPEDという名称が出演や流通、エアプレイの障害になっていたことが背景にあります。関係者の回想では、BBCのDJジョン・ピールが正反対の無害な名前としてCuddly Toysを提案したことが改名のきっかけとされています。
- RAPEDの曲は今も聴けますか?
-
2026年9月15日時点ではAmazon Music Unlimited、SpotifyやApple Musicで主要曲と『The Complete Collection』を確認できます。配信は地域や契約で変わるため、最新状況は各サービスで確認してください。
- 最初に買うならどの盤ですか?
-
いきなり高価なオリジナル盤を狙う必要はありません。まず配信で確認し、RAPED期が気に入ったら2024年の『Escalator Hater 1977-1978』、Cuddly Toysまで追いたくなったら2026年の『Guillotine Theatre – RSD 2026』を候補にするのが分かりやすいです。
8-2. RAPEDを今聴く意味
この流れまで追って初めて、RAPEDというバンドの面白さが見えてきます。
私の結論は、RAPEDを「珍名パンク」として消費するより、グラムからパンク、そしてニューウェイヴへ渡る途中のバンドとして聴くべき、です。
まずは「Moving Target」から。
そこで引っかかったら、『The Complete Collection』を頭から流してみてください。
そのあとCuddly Toysの「Madman」まで行けば、バンドがなぜ名前だけでなく音まで変わっていったのか、かなり鮮明に見えてくるはずです。


