英国の3大パンクバンドは?と聞かれれば多くの人が名を挙げるザ・ダムド。
しかし、ダムドとはどういう意味ですか?と問われると、意外と知らない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、史上初だらけのパンクバンド・ダムド大辞典として、そのヒストリーから名盤『Damned Damned Damned』の全曲レビューまで、ダムドの全てを徹底的に掘り下げます。
個性的なダムドのメンバーやカリスマ的なダムドのボーカル、ファンの間で議論が絶えないダムドの最高傑作は?という疑問、代表曲ニートニートニートの和訳、人気のダムドのバンドTシャツ、そしてファン待望のダムドバンド来日情報まで、ダムドに関するあらゆる情報を網羅し、その魅力の核心に迫ります。
この記事でわかること
✔︎ ダムドの結成から現在までの歴史と功績
✔︎ 主要メンバーのプロフィールとバンドの変遷
✔︎ 代表的なアルバムと楽曲の詳細なレビュー
✔︎ バンドにまつわる重要な用語や逸話
1. 史上初だらけのパンクバンド「ザ・ダムド」入門
✔︎ 英国の3大パンクバンドは?
✔︎ ダムドとはどういう意味ですか?
✔︎ バンドの顔であるダムド ボーカル
✔︎ 変遷を続けるダムド メンバー
✔︎ 40年以上にわたるバンドの歴史
1-1. 英国の3大パンクバンドは?
1970年代後半、経済不安と社会的停滞に揺れるロンドンから、既存の価値観を破壊する新たな音楽ムーブメントが生まれました。
それがパンク・ロックです。その中心には、後世にまで絶大な影響を与えることになる「英国3大パンクバンド」と呼ばれる象徴的な存在がいました。
それは、セックス・ピストルズ、ザ・クラッシュ、そしてザ・ダムドです。
この3バンドは、それぞれ異なるアプローチで「パンク」を体現しました。
セックス・ピストルズがマルコム・マクラーレンの仕掛けのもと、社会体制への過激な反抗とスキャンダラスなアナーキズムを掲げた「事件」であったとするならば、ザ・クラッシュはレゲエやロックンロールといった多様な音楽を取り込みながら、政治的・社会的なメッセージを力強く訴えかけた「思想」でした。
それに対し、ザ・ダムドは特定のイデオロギーを掲げるよりも、音楽そのものが持つ衝動、スピード感、そして時にユーモラスなエンターテインメント性を何よりも重視しました。
言ってしまえば、彼らは純粋な「音楽」としてのパンク・ロックを追求したのです。
そのため、彼らの楽曲は政治的主張よりも、60年代のガレージロックやサイケデリック、後のゴシック・ロックへと繋がる幅広い音楽性が色濃く反映されています。
この独自の立ち位置が、彼らを他の2バンドと明確に一線を画す存在にしています。
3大パンクバンドのキャラクター比較
そして何より、ダムドはパンクの「史上初」を次々と成し遂げた真の開拓者でした。
英国パンク初のシングル「New Rose」(1976年10月)、初のフル・アルバム『Damned Damned Damned』(1977年2月)、さらには英国パンクバンドとして初の全米ツアー敢行まで、その功績は計り知れません。
思想的な側面だけでなく、音楽史における偉大なパイオニアとして、彼らは3大パンクバンドの一角に燦然と輝いているのです。
1-2. ダムドとはどういう意味ですか?
バンド名である「The Damned(ザ・ダムド)」は、英語の “damned” という単語に由来します。
この単語は、文字通りに訳すと「呪われた」「忌まわしい」「地獄に落ちた」といった、非常に強烈でネガティブな意味合いを持ちます。
1976年当時、洗練されたプログレッシブ・ロックや華やかなグラムロックが主流だった音楽シーンにおいて、このような名前を掲げること自体が極めて挑発的な行為でした。
彼らは自らを社会のメインストリームから弾かれた「忌まわしき者たち」と名乗ることで、既存の権威や社会規範に対する明確な反骨精神を表明したのです。
それは、音楽シーン全体に対する宣戦布告とも言えるものでした。
バンド名を直訳すると少し怖い印象を受けますよね。
でもこれは、彼ら特有のブラックユーモアと反骨精神の表れなんです。
デビューアルバムの邦題が『地獄に堕ちた野郎ども』とされたのも、このバンド名が持つ攻撃的で自嘲的な世界観を完璧に捉えています。
さらに興味深いのは、この名前が単なる一過性の過激さにとどまらなかった点です。
バンドのキャリアが進むにつれて、デイヴ・ヴァニアンのヴィジュアルに代表されるような、ダークでシアトリカル(演劇的)な側面が強まっていきます。
特に80年代のゴシック・ロック期には、「呪われた」というバンド名が持つ耽美で退廃的なイメージが、彼らの音楽性と見事に合致しました。
このように考えると、「ダムド」という名前は、結成当初のパンク的な初期衝動から、その後の複雑で奥深い音楽的変遷までをも象徴する、非常に慧眼なネーミングであったと言えるでしょう。
1-3. バンドの顔であるダムドのボーカル
ザ・ダムドの40年以上にわたる歴史は、絶え間ないメンバーチェンジの歴史でもあります。
しかし、その変化は停滞ではなく、バンドに新たな音楽性と生命力をもたらす原動力となってきました。
ここでは主要なメンバーとその役割を、時期を追って紹介します。
オリジナルメンバー(第1期:1976-1978)
1976年の結成時のラインナップは、わずか数年で英国パンクの歴史を切り開いた、まさに伝説的な布陣です。
- デイヴ・ヴァニアン (Vo): 前述の通り、バンドの視覚的・音楽的世界観を司るゴシック・アイコン。
- ブライアン・ジェイムズ (Gt): 初期2作のメインソングライター。彼の鋭利で攻撃的なギターリフが、初期ダムドサウンドの核でした。
- キャプテン・センシブル (Ba): 当初はベースを担当。赤いベレー帽と奇抜なパフォーマンスで、バンドの「顔」の一人として人気を牽引。
- ラット・スケイビーズ (Dr): まるでハンマーを振り下ろすかのようなパワフルで手数も多いドラミングで、バンドの異常なスピード感を決定づけた人物です。
再結成後の重要メンバー
1979年の再結成以降、バンドは新たな音楽的冒険へと乗り出します。特に重要なのが、キャプテン・センシブルの役割の変化でした。
メインソングライターだったブライアン・ジェイムズの脱退後、キャプテン・センシブルがベースからギターに転向したことが、バンドにとって最大の転機となりました。
これにより、バンドは直線的なパンクから、よりメロディアスでサイケデリックな要素を持つ複雑な音楽性へと進化していくことになります。
この時期以降、多くの個性的なメンバーがバンドのサウンドを支えました。
メンバー名 | 担当楽器 | 主な在籍期間 | 特徴・功績 |
---|---|---|---|
アルジー・ワード | ベース | 1979年頃 | 『Machine Gun Etiquette』期の重厚な低音を担い、バンドの新たなスタートに貢献。 |
ポール・グレイ | ベース | 1980-83, 1991, 2017- | 『The Black Album』『Strawberries』などで、卓越した技術とメロディアスなベースラインを披露。 |
ローマン・ジャグ | キーボード/ギター | 1981-89年頃 | シンセサイザーを導入し、バンドのゴシック期サウンドの構築に大きく貢献したキーパーソン。 |
ブライン・メリック | ベース | 1983-89年頃 | ゴシック期の代表作『Phantasmagoria』に参加し、バンドの商業的成功を支えた。 |
パトリシア・モリソン | ベース | 1996-2004年頃 | 元The Sisters of Mercy。ゴシック界のアイコン的存在で、後にヴァニアンの妻となる。 |
モンティ・オキシー・モロン | キーボード | 1996年- | 長年にわたりバンドのサウンドにサイケデリックな彩りを加え続けている現メンバー。 |
ピンチ | ドラム | 1999-2019年 | 約20年間ドラムを務め、ラット脱退後のバンドサウンドを安定させた功労者。 |
このように、ダムドは非常にメンバーの入れ替わりが激しいバンドです。
特に80年代以降は多くの優れたミュージシャンが出入りしており、アルバムごとに音楽性が大きく異なるのはこのためです。
しかし、その変化を恐れない姿勢こそが、彼らがマンネリに陥ることなく、今なお現役で刺激的な音楽を創造し続けられる最大の理由と言えるでしょう。
1-5. 40年以上にわたるバンドの歴史
ザ・ダムドは1976年の結成から現在に至るまで、解散、再結成、そして幾多のメンバーチェンジを繰り返しながらも、止まることなく活動を続ける、まさに「生きる伝説」です。
その激動の歴史を、重要な出来事と共に年表で詳しく振り返ってみましょう。
年代 | 主な出来事と作品 |
---|---|
1976年 | ロンドンで結成。7月6日にセックス・ピストルズの前座として初ライブ。10月22日、スティッフ・レコードより英国パンク初のシングル「New Rose」をリリース。 |
1977年 | 2月18日、英国パンク初のフル・アルバム『Damned Damned Damned』を発表。全英チャート36位を記録。その後、英国パンクバンドとして初の全米ツアーも敢行し、米国のハードコアシーンに影響を与える。 |
1978-79年 | 音楽性の相違から一度解散。しかし79年に再編し、キャプテンがギターに転向。傑作の呼び声高い3rdアルバム『Machine Gun Etiquette』をリリースし、完全復活を遂げる。 |
1980-86年 | 2枚組大作『The Black Album』などでサイケデリック色を強め、次第にゴシック・ロックへ傾倒。『Phantasmagoria』(1985)が商業的に成功し、バンドの新たな代表作となる。バリー・ライアンのカバー曲「Eloise」が全英シングルチャート3位の大ヒットを記録(1986)。 |
1995-2008年 | メンバーチェンジを繰り返しながらも『Not of This Earth』(1995)、『Grave Disorder』(2001)、『So, Who’s Paranoid?』(2008) とコンスタントにアルバムをリリースし、世界中でライブ活動を継続。 |
2018年 | デヴィッド・ボウイとの仕事で知られるトニー・ヴィスコンティをプロデューサーに迎えた『Evil Spirits』をリリース。これが全英アルバムチャートで7位を記録し、バンド史上初のトップ10入りという快挙を成し遂げる。(参照:Official Charts Company) |
2023年 | 最新アルバム『Darkadelic』を発表し、高い評価を得る。11月にはオリジナルドラマーのラット・スケイビーズが正式にバンドへ復帰。 |
2025年 | 創設メンバーであり、初期サウンドの要であったギタリスト、ブライアン・ジェイムズが逝去。世界中のファンがその死を悼んだ。 |
この年表からもわかるように、ダムドの歴史は決して平坦なものではありませんでした。
しかし、彼らはパンクの枠に留まることなく、サイケデリック、ゴシック、ポップといった多様な音楽性を貪欲に取り込みながら、常に進化を続けてきたのです。
一度は解散の憂き目に遭いながらも、その都度さらに強力な音楽性を獲得して復活を遂げてきました。
デビューから40年以上を経てなお全英トップ10ヒットを生み出すその尽きせぬ創造力こそ、彼らが今もなおリスペクトされ続ける理由なのです。
2. 史上初だらけのパンクバンド「ザ・ダムド」作品編
✔︎ 『Damned Damned Damned』全曲レビュー
✔︎ ニートニートニート 和訳と歌詞の魅力
✔︎ ファンが語るダムドの最高傑作は?
✔︎ 近年のダムドバンド来日情報まとめ
✔︎ マストアイテム!ダムド バンドTシャツ
✔︎ 総括:史上初だらけのパンクバンド・ダムド大辞典
2-1. 『Damned Damned Damned』全曲レビュー
今こそカセットで聴くのがパンクだぜ!

1977年2月18日、スティッフ・レコードからリリースされた『Damned Damned Damned』(邦題:地獄に堕ちた野郎ども)は、英国パンク史上初のフル・アルバムとして、ロック史にその名を永遠に刻む金字塔です。
プロデューサーにニック・ロウを迎え、ロンドンのPathway Studiosで録音された本作は、バンドが持つ生々しく荒々しいエネルギーを余すところなく捉えています。
ここでは、歴史を動かした全12曲を詳細にレビューします。
アルバム制作豆知識
このアルバムは、わずか10日間という驚異的な短期間で一気にレコーディングされ、ミックスは1977年1月15日に一日で完了したと言われています。
ニック・ロウの「即断即決」の美学が、このアルバムの持つスピード感とダイレクトなサウンドに大きく貢献しました。
収録曲 | 曲名 (原題) | レビュー |
---|---|---|
1 | Neat Neat Neat | キャプテン・センシブルの唸るようなベースラインが撃鉄となり、ラット・スケイビーズの雪崩のようなドラムフィルが炸裂する、完璧なオープニング。ブライアン・ジェイムズの切り裂くギターとヴァニアンのクールなボーカルが、混沌としながらもタイトなアンサンブルを生み出す「最初の一撃」。 |
2 | Fan Club | どこか甘美でサイケデリックな雰囲気を持つ異色のナンバー。ファンクラブという存在を皮肉った歌詞と、ヴァニアンのバリトンボイスが持つ「冷たい熱」が見事に融合し、バンドの多面性を初期の段階で見せつけています。 |
3 | I Fall | わずか2分強で崖から転げ落ちるように駆け抜ける、カタルシスに満ちた一曲。焦燥感を煽るブリッジから一気に加速する展開は、まさに初期衝動の塊。 |
4 | Born to Kill | タイトル通り、殺傷力の高いリフで押しまくるストレートなパンク・ロック。ジェイムズの執拗に刻まれるギターリフが楽曲全体を強力に牽引し、聴く者のアドレナリンを沸騰させます。 |
5 | Stab Yor Back | 1分弱で終わる、パンクの刹那的な美学を凝縮したような楽曲。ドラマーのラット・スケイビーズが作曲したとされ、その悪ふざけ感満載の投げやりな雰囲気が魅力です。 |
6 | Feel the Pain | アルバム中最もメロディアスな楽曲の一つ。荒々しい演奏の中に、はっきりと際立つ美しいメロディラインが隠されており、初期ダムドが単なるノイズバンドではないことを証明する名曲。 |
7 | New Rose | 英国パンク史上初のシングルにして、永遠に語り継がれるアンセム。ザ・シャングリラスが1964年に発表した大ヒット曲「リーダー・オブ・ザ・パック)」の冒頭部分からの直接的な引用です。”Is she really going out with him?(マジかよ!あの女、あんなヤツと付き合ってんのか?)”というザ・シャングリラスへのオマージュから始まる、ロマンティックな歌詞を乗せた高速ロックンロール。歴史的な一曲です。 |
8 | Fish | 後にThe Saintsなどで活躍するトニー・ジェイムスとの共作。キレのある変則的なリズムと、一度聴いたら忘れられないフックを持つ、わずか1分半のユニークな楽曲。 |
9 | See Her Tonite | “Tonite”という表記に、彼らのルーツである50s-60sロックンロールへの愛情が感じられます。キャッチーなコーラスと弾むようなリズムが楽しい、ポップな一面が垣間見える一曲。 |
10 | 1 of the 2 | 3分台の楽曲の中で、巧みな緩急と展開を見せるナンバー。ライブでのコール&レスポンスが目に浮かぶような構成で、バンドの演奏能力の高さも伺えます。 |
11 | So Messed Up | アルバム終盤を再びトップスピードで駆け抜ける、短距離全力疾走ナンバー。タイトル通り「めちゃくちゃ」な勢いを保ったまま、鮮やかな引き際でアルバムをタイトに引き締めます。 |
12 | I Feel Alright | 彼らが敬愛するザ・ストゥージズの「1970」を改題してカバー。原曲の持つ暴力的でダーティな魅力を、パンクの速度とラット・スケイビーズの破壊的なドラムで再構築した、アルバムを締めくくるにふさわしい完璧なクロージング。 |
このアルバムは、ジャケット写真の逸話も有名です。
初回盤の一部では、裏ジャケットの写真が誤ってエディ&ザ・ホット・ロッズのものになっており、その上から訂正ステッカーが貼られるという、いかにもスティッフ・レコードらしい「事故を装った宣伝」が行われました。
音楽だけでなく、そのパッケージやプロモーション手法に至るまで、本作はパンク・ロックの伝説に満ちあふれています。
2-2. ニートニートニート 和訳と歌詞の魅力
アルバム『Damned Damned Damned』のオープニングを飾り、バンドのテーマソングとも言える「Neat Neat Neat(邦題:嵐のロックン・ロール)」は、「New Rose」と並んでダムドを象徴する一曲です。
まず重要なのは、この曲のタイトルにある “Neat” が、現代の日本で使われる労働や就学をしていない若者を指す「ニート(NEET: Not in Education, Employment, or Training)」とは全く無関係であるという点です。
ここでの “Neat” は、「小綺麗な」「素敵な」「きちんとした」「素晴らしい」といった肯定的な意味を持つ英単語です。
したがって、「Neat Neat Neat」というタイトルは、「最高、最高、最高だ」といった強い賛辞や感嘆のニュアンスになります。
歌詞の内容は、単純なラブソングとは一線を画す、非常にユニークな世界観を持っています。
社会への不満や反抗を直接的に歌うことが多かった当時の他のパンクバンドとは異なり、ダムドはまるでフィルム・ノワール(犯罪映画)のような情景を描写しました。
歌詞が描くスリリングな世界観
正確な和訳は著作権の都合で掲載できませんが、歌詞を読み解くと以下のようなスリリングなストーリーが浮かび上がります。
✔︎ 何者かに追われ、身を隠さなければならない緊迫した状況。
✔︎ そんな絶望的な状況の中で出会った「君」という唯一の希望。
✔︎ そしてサビで繰り返される「Neat Neat Neat, she can’t be beat(最高だ、彼女に勝るものはない)」という、彼女へのストレートで力強い賛辞。
このように、「Neat Neat Neat」の最大の魅力は、犯罪映画のような切迫した状況描写と、その中で見出すロマンティックな感情が、猛烈なスピードの演奏の上で同居している点にあります。
この攻撃的なサウンドに乗せてラブソングとも取れるパーソナルな感情を歌うというスタイルは、ダムドの音楽性の幅広さ、そして彼らが単なる破壊的なパンクバンドではなかったことの何よりの証明と言えるでしょう。
この曲の象徴的なベースイントロは、今なお多くのミュージシャンに影響を与え続けています。
2-3. ファンが語るダムドの最高傑作は?
「ダムドの最高傑作は?」という問いは、ファンの間で長年にわたり熱く議論され続ける永遠のテーマです。
その理由は、彼らのキャリアが非常に長く、アルバムごとに音楽性を劇的に変化させてきたため、聴き手がどの時代の彼らに惹かれるかによって、その答えが全く異なってくるからです。
ここでは、最高傑作として名前が挙がることが特に多い、バンドの個性を象徴する3枚のアルバムを深掘りします。
アルバム名 | リリース年 | 音楽的特徴 | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|
Damned Damned Damned | 1977年 | スピード、攻撃性、若さが凝縮されたパンクの初期衝動そのもの。シンプルで荒々しい。 | 純粋な70’sパンクロックのエネルギーを体感したい人。 |
Machine Gun Etiquette | 1979年 | パンクの勢いはそのままに、ポップなメロディとサイケデリックな要素が加わった傑作。 | キャッチーな曲が好きで、パンク入門としても最適な一枚を求める人。 |
Phantasmagoria | 1985年 | シンセサイザーを多用し、ダークで耽美的な世界観を構築したゴシック・ロックの金字塔。 | The CureやBauhausなど、80年代のゴシック・ロックやニュー・ウェイヴが好きな人。 |
1. 『Damned Damned Damned』 (1977) – 初期衝動の塊
前述の通り、英国パンク初のアルバムであり、その歴史的価値は計り知れません。
理屈抜きのスピード、制御不能な攻撃性、そして若さゆえの荒々しいエネルギーが30分弱に凝縮されています。
「純粋なパンクロック」を求めるファンからは、今なお不動の最高傑作として絶対的な支持を受けています。
ニック・ロウによる、バンドの生々しさを一切殺さないサウンドプロダクションも奇跡的と言えるでしょう。
2. 『Machine Gun Etiquette』 (1979) – ポップとパンクの黄金比
一度解散し、キャプテン・センシブルがギターに転向して制作された、バンドのクリエイティビティが爆発した再起の一枚。
「Love Song」や「Smash It Up」といった、一度聴いたら忘れられないキャッチーな名曲を多数収録。
パンクの性急なビートと、60年代ポップスのようなメロディセンス、そしてサイケデリックな実験精神が見事に融合しており、バンドの最高傑作に挙げる声が最も多い作品かもしれません。
3. 『Phantasmagoria』 (1985) – ゴシック・ロックの極致
パンクから大きく舵を切り、デイヴ・ヴァニアンの持つ耽美な世界観を前面に押し出した、80年代ゴシック・ロックを代表する名盤。
シンセサイザーを大胆に導入し、重厚で荘厳、そして美しいメロディが際立つサウンドは、初期とは全く異なる魅力を持っています。
このアルバムでダムドを知ったというファンも多く、商業的にも大きな成功を収めました。
結論として、ダムドの「最高傑作」は一つに絞ることは不可能であり、それを試みること自体が無意味なのかもしれません。
パンクの初期衝動を求めるなら『Damned Damned Damned』、メロディと勢いの完璧な融合を求めるなら『Machine Gun Etiquette』、そしてダークで美しい世界観に浸りたいなら『Phantasmagoria』が、それぞれの時代の最高傑作と言えるでしょう。
この恐るべき振れ幅と、どの時代にも傑作を生み出す創造力こそが、ダムドというバンドの真の偉大さなのです。
2-4. 近年のダムドバンド来日情報まとめ
ザ・ダムドは、その長いキャリアを通じて何度も日本を訪れ、そのエネルギッシュなパフォーマンスでファンを熱狂させてきました。
特に近年は、数年おきにコンスタントに来日公演を行っており、日本のファンとの間に強い絆を築いています。
記録によれば、彼らは1986年4月に待望の初来日を果たして以来、オリジナルメンバーでの再結成ツアーを行った1991年、ラット主導で再編された1994年、そして2005年、2012年など、その時々の最新のラインナップで定期的にジャパンツアーを開催しています。
2011年には結成35周年を記念したアニバーサリー・ツアーの一環として来日し、往年の名曲から当時の最新アルバムの楽曲まで、新旧織り交ぜたセットリストでファンを喜ばせてくれました。
メンバーの年齢を全く感じさせない、そのパワフルなステージングは圧巻の一言です!
歴史的瞬間:オリジナルラインナップでの再結成ライブ
近年の活動で特に大きな話題となったのが、2020年に発表され、2022年に実現したオリジナル・ラインナップでの再結成ライブです。デイヴ・ヴァニアン、キャプテン・センシブル、ブライアン・ジェイムズ、ラット・スケイビーズという、まさに歴史を創った4人が再び同じステージに立つというニュースは、世界中の長年のファンを驚かせ、歓喜させました。
英国の音楽メディアNMEなども大々的に報じ、大きな注目を集めました。(参照:NME)
この歴史的な再結成ライブは、コロナ禍の影響で何度か延期されましたが、2022年10月から11月にかけて英国の主要都市でついに実現。
残念ながらこの黄金の布陣での来日公演は行われませんでしたが、バンドの歴史における非常に重要なハイライトとなりました。
最新の来日情報について
バンドの来日に関する公式情報は、通常、バンドの公式サイトや日本のプロモーター(招聘会社)のウェブサイトでいち早く発表されます。
過去の来日実績を見ても、今後も日本で彼らの最新のライブを観られる可能性は十分に考えられます。
ファンの方は、これらの公式サイトや公式SNSを定期的にチェックし、最新情報を見逃さないようにすることをおすすめします。
2-5. マストアイテム!ダムドのバンドTシャツ



バンドへの愛情や自身の音楽的アイデンティティを表現する上で、バンドTシャツは欠かせないアイテムです。
ザ・ダムドのTシャツは、そのアイコニックで多様なデザインにより、パンクファッションの定番として古くから多くのファンやファッション好きに愛されてきました。
数あるデザインの中でも、最も有名で象徴的なのは、やはり1stアルバム『Damned Damned Damned』のジャケット写真を使用したものでしょう。
メンバー4人がパイ投げをされた直後の、笑顔と混乱が入り混じったカオスな瞬間を捉えた写真は、バンドの持つユーモアとアナーキーな精神を見事に表現しており、今なお絶大な人気を誇ります。
定番からレアまで!人気のTシャツデザイン
ダムドのバンドTシャツは、単なるファングッズとしての価値にとどまりません。
それは、70年代のロンドン・パンクというカルチャーの歴史を背負う一枚であり、反骨精神と遊び心の象徴でもあります。
ライブ会場で着るのはもちろん、普段のコーディネートに取り入れるだけで、音楽好きの目を引く強力なファッションアイテムとして機能します。
これらのTシャツは、バンドのオフィシャルサイトや、輸入盤CD・レコードを扱う専門店、ロックファッションを専門とするアパレルショップなどで購入することができます。(参照:The Damned Official Website)
一枚持っていれば、あなたも「地獄に堕ちた野郎ども」の誇り高き一員です。
2-6. 総括:史上初だらけのパンクバンド・ダムド大辞典
この記事では、英国3大パンクバンドの一角でありながら、独自の道を歩み続ける孤高の存在、ザ・ダムドの魅力について、その歴史から作品、カルチャーに至るまで多角的に掘り下げてきました。
最後に、本記事で解説した重要なポイントをまとめます。
✔︎ ダムドはセックス・ピストルズ、ザ・クラッシュと並び称される英国3大パンクバンドの一つである
✔︎ 政治的主張よりも、音楽的な衝動、スピード、エンターテインメント性を重視したスタイルが特徴
✔︎ バンド名の「Damned」は「呪われた」「忌まわしい」という意味で、反骨精神の象徴
✔︎ ボーカルのデイヴ・ヴァニアンは、そのビジュアルと歌声で後のゴシック・ロックに絶大な影響を与えた
✔︎ 度重なるメンバーチェンジが、パンク、サイケ、ゴシックといった多様な音楽性をバンドにもたらした
✔︎ キャプテン・センシブルは初期はベース、再結成後はギターを担当し、バンドの音楽性を大きく変えた
✔︎ 1976年に英国パンク初のシングル「New Rose」をリリースした真のパイオニアである
✔︎ 1977年には英国パンク初のフル・アルバム『Damned Damned Damned』を発表した
✔︎ 『Damned Damned Damned』は、わずか10日間で録音された初期衝動の塊とも言える歴史的名盤
✔︎ 代表曲「Neat Neat Neat」は「ニート」ではなく「素敵」という意味のユニークなラブソング
✔︎ 最高傑作は一つに絞れず、『Damned Damned Damned』『Machine Gun Etiquette』『Phantasmagoria』が三大名盤として挙げられる
✔︎ 『Machine Gun Etiquette』はポップなメロディとパンクの勢いが融合した傑作
✔︎ 『Phantasmagoria』は80年代ゴシック・ロックを代表する耽美的な名盤
✔︎ 長年にわたりコンスタントに来日公演を行っており、日本のファンとも強い繋がりを持つ
✔︎ バンドTシャツは1stアルバムのジャケットデザインが最も象徴的で人気が高い
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