住宅地でも相次ぐ襲撃…危険な出会いが全国で発生
北海道知床半島の羅臼岳で、登山中にクマに襲われ行方不明となっていた男性が、15日に遺体で発見されました。亡くなったのは、東京在住の会社員、曽田圭亮さん(26)と確認されました。曽田さんは14日、友人と登山道を歩いていたところ、クマに襲われて林の中に引きずり込まれたといいます。
現場近くでは、襲撃したクマとみられる親子のクマ3頭が駆除されました。羅臼岳の登山道は引き続き閉鎖されており、危険なヒグマの生態が改めて浮き彫りになりました。
クマによる被害は山間部だけにとどまらず、住宅地でも多発しています。15日夜には新潟県南魚沼市で、自宅近くを歩いていた60代の男性が体長約1メートルのクマに襲われました。男性は懐中電灯で抵抗し、命に別状はありませんでしたが、住民の生活圏での遭遇が相次いでいます。
求められる「新たなクマ対策」と自治体が負う重圧
クマによる人身被害が相次ぐ中、北海道では対策のあり方が新たな局面を迎えています。7月に新聞配達員がクマに襲われ死亡した福島町では、事件から1か月が経った今も住民の不安が払拭されず、夏祭りや海水浴場が中止になるなど、生活に大きな影響が残されています。
町は、草刈りや電気柵の設置、ゴミ出しルールの徹底など対策を強化していますが、今後のクマ対策には大きな課題が横たわっています。
その一つが、9月1日から施行される改正鳥獣保護管理法です。これにより、これまで警察が担ってきた市街地でのクマ駆除における発砲判断の責任が、自治体に移行します。福島町長は「いくらいいことを言っても我々は素人」と語り、限られた人員で対応にあたる自治体職員に重圧がかかることが懸念されています。
専門家は、猛暑によるエサ不足が被害増加の背景にあると指摘しており、今後もクマが人里に下りてくる可能性が高いと警鐘を鳴らしています。クマと人が共存していくため、行政、ハンター、警察が連携した新たな体制づくりが急務となっています。



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