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【完全保存版】ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの名曲|時代を切り裂いた名曲たち

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムジャケット、アンディ・ウォーホルがデザインしたバナナのイラストが中央に配置され、その上下に「【完全保存版】ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの名曲 時代を切り裂いた名曲たち」という文字が白いフォントで書かれている。背景は青いサテンのような布地。

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの名曲を探しているけれど、数々の伝説や逸話の中から、結局今なお輝く代表曲とは?と疑問に思っていませんか。

この記事では、ロックの歴史を変えたと言われるバンドの本当の凄さや、ポップアートの巨匠アンディウォーホルとの運命的な関係、そして象徴的なバナナのジャケットで知られる最高傑作の名盤について、背景から深く掘り下げて解説します。

さらに、ミステリアスなドイツ人モデルのニコが歌う楽曲の魅力、心に染みる名バラードのペイル・ブルー・アイズ、そしてサンデーモーニングの和訳から見えてくる光と影の世界観まで、結局おすすめ曲はどれか?というあなたの純粋な疑問に、徹底的に答えていきます。

この記事を読めば、彼らの音楽がなぜ今もなお世界中のアーティストに影響を与え続けるのか、その核心に触れることができるでしょう。

  • ヴェルヴェット・アンダーグラウンドが音楽史に与えた根源的な影響
  • 初心者でも楽しめる代表的な名曲とその文化的背景
  • 各スタジオアルバムの個性と、最高傑作と称される理由
  • バンドの運命を左右したアンディ・ウォーホルやニコといった重要人物
目次

1. 時代を超えるヴェルヴェット・アンダーグラウンドの名曲

  • まずはバンドの凄さを知る
  • 有名な曲は?代表作をチェック
  • アンディウォーホルとの出会い
  • 象徴的なバナナのジャケット
  • 歌姫ニコが参加した楽曲

1-1. まずはバンドの凄さを知る

The Velvet Underground(以下、VU)の真の凄さは、活動当時にヒットチャートを賑わせたというような、分かりやすい成功物語にはありません。

むしろ、その本質は、商業的にはほとんど成功しなかったにもかかわらず、その後の音楽シーン全体に計り知れないほど深く、広範囲な影響を与え続けたという逆説的な事実にあります。

1960年代半ば、音楽シーンが西海岸の「ピース&ラブ」ムーブメントに沸く中、ニューヨークで産声を上げた彼らは、時代とは全く逆の方向を向いていました。

当時主流だったサイケデリックロックとは一線を画し、ノイズ、不協和音、そして持続音(ドローン)といった現代音楽や前衛芸術の要素をロックのフォーマットに大胆に持ち込んだのです。さらに歌詞の面では、ドラッグ中毒、倒錯した性、都市生活者の疎外感といった、それまでポピュラー音楽が頑なに避けてきたタブーなテーマを、文学的かつジャーナリスティックな筆致で赤裸々に描き出しました。

この革新的な試みは、当然ながら当時のラジオで放送されることはなく、セールスも惨憺たるものでした。

しかし、その商業主義に染まらない純粋で過激な音楽性は、一部の感度の高い若者たちの魂を強く揺さぶりました。

その影響の特異性を最も的確に表現したのが、ミュージシャンのブライアン・イーノが1982年のインタビューで語ったとされる、あまりにも有名な言葉です。

「ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの最初のアルバムは1万枚しか売れなかったが、それを買った人間は誰もがバンドを始めた」

この言葉が示す通り、VUの音楽に直接触れた少数の人々が、まるでウイルスのようにその遺伝子を受け継ぎ、デヴィッド・ボウイ、ザ・ストゥージズ、パティ・スミス、そして後のパンク、ポストパンク、オルタナティブロック、インディーロックといった無数の新しいジャンルやアーティストを生み出す土壌となったのです。

つまり、VUは単なるロックバンドではなく、商業的な成功とは全く別の次元で、後世の音楽の潮流を根底から変えてしまった、まさに「オルタナティブという概念そのものの設計者」なのです。(参照:ロックの殿堂

1-2. 有名な曲は?代表作をチェック

VUには、ロックの歴史を塗り替えるきっかけとなった、象徴的で有名な曲が数多く存在します。

もしあなたが「どの曲から聴けば良いか分からない」と感じているなら、まずは以下の5つの代表作から彼らの世界の扉を開けてみることを強くおすすめします。

それぞれがバンドの異なる側面を映し出す、入門に最適な楽曲です。

代表的な名曲リスト

  • Heroin: ドラッグによる恍惚と破滅的な衝動を、静寂と轟音の劇的なコントラストで見事に表現した7分以上に及ぶ大作です。ゆっくりとしたアコースティックギターのストロークから始まり、徐々にテンポと音量が上がっていき、ジョン・ケイルのヴィオラが金切り声のようなノイズを奏でるクライマックスは圧巻の一言。音楽でドラッグ体験を疑似的に描き切った、恐ろしくも美しい楽曲です。
  • I’m Waiting for the Man: ニューヨークのハーレム、レキシントン街125丁目で26ドルを握りしめ、ドラッグディーラーを待つ男の焦燥感を、疾走感あふれるロックンロールに乗せて歌っています。ルー・リードの淡々としたボーカルと、叩きつけるようなピアノのリフが、都市の乾いたリアリティを生々しく伝えます。
  • Venus in Furs: オーストリアの作家ザッヘル=マゾッホの同名小説にインスパイアされた、SM(サドマゾヒズム)の世界をテーマにした楽曲。モーリン・タッカーの単調でトライバルなドラムビートの上を、ジョン・ケイルの不気味なエレクトリック・ヴィオラが滑るように響き渡り、聴く者を背徳的で官能的な異次元へと誘います。
  • Sweet Jane: 4thアルバム『Loaded』に収録された、ロック史に燦然と輝くアンセムの一つ。誰もが口ずさめるキャッチーなギターリフと、聴く者の心を高揚させるサビのコーラスが特徴です。バンドが最もポップだった時代の、光に満ちた名曲と言えるでしょう。
  • Rock & Roll: 「Sweet Jane」と同じく『Loaded』に収録。「ラジオから流れてきたロックンロールが、5歳の女の子の人生を救った」という、音楽への愛と賛歌に満ちたポジティブなメッセージが込められています。VUのイメージを覆すような、ストレートで心温まる一曲です。

これらの楽曲は、それぞれが強烈な個性を放ちながらも、VUというバンドが内包していた底知れない魅力の一端を凝縮しています。

まずはこれらの曲に耳を傾けることで、彼らがなぜ伝説として語り継がれるのか、その理由を肌で感じることができるでしょう。

1-3. アンディウォーホルとの出会い

VUの歴史を語る上で、ポップアートの旗手アンディ・ウォーホルとの運命的な出会いは絶対に欠かすことができません。

もしこの出会いがなければ、彼らの革新的な音楽がレコードとして世に出ることはなく、アンダーグラウンドの伝説のままで終わっていた可能性すらあります。

1965年末、ニューヨークのカフェで演奏していた無名のVUは、その過激さゆえに店をクビになった直後、映画監督のバーバラ・ルービンを介してウォーホルに紹介されます。

彼らの演奏を聴いたウォーホルは即座にその才能を見抜き、マネージャーになることを申し出ました。

ウォーホルの最大の功績は、名目上のプロデューサーとしてバンドの音楽に口出ししたことではなく、あらゆる外部の干渉から彼らを守り、完全な創造的自由を保証する「盾」となった点にありました。

Exploding Plastic Inevitable (EPI)

ウォーホルはVUを、自身が主宰する前代未聞の移動式マルチメディア・ショー「Exploding Plastic Inevitable(爆発するプラスチックの避けられないもの)」のハウスバンドに起用しました。これは、VUが奏でる大音量のドローン・ミュージック、ウォーホルの実験映画の複数同時上映、暴力的なストロボライトの明滅、そしてジェラルド・マランガらによるSM的な鞭のダンスが渾然一体となった、観客の五感を徹底的に攻撃するカオスなアート・イベントでした。(参照:The Andy Warhol Museum

当時のレコード会社が商業的でないとして絶対に受け入れなかったであろう、ドラッグ、SM、社会の暗部をテーマにした過激な音楽。それを一切の妥協なく、生々しい形のまま作品として完成させることができたのは、アート界の頂点に君臨していたウォーホルという強力な庇護者が存在したからです。

ルー・リード自身が後に語ったように、ウォーホルの役割は「俺たちから人々を遠ざけておくこと」であり、彼らの純粋な芸術性が守られるための聖域を作り出すことだったのです。

1-4. 象徴的なバナナのジャケット

VUのデビューアルバム『The Velvet Underground & Nico』を、音楽以上に有名にしたかもしれないのが、アンディ・ウォーホルがデザインを手がけたあまりにも象徴的なバナナのジャケットです。

白地の背景に、熟した黄色いバナナが一本だけ描かれたシンプルなデザイン。

しかし、このジャケットには巧妙な仕掛けが施されていました。レコードの初回盤には、バナナの皮の部分がステッカーになっており、その脇には「Peel Slowly and See(ゆっくり剥がして見ろ)」という、性的で挑発的なメッセージが添えられていました。

そして、その指示通りにステッカーを注意深く剥がすと、下から鮮やかなピンク色のバナナの果肉が現れるという仕組みになっていたのです。

このデザインは、単なる面白いアートワークという次元を遥かに超えています。

一見するとポップアートらしい無害なモチーフであるバナナの皮を剥がすと、その下には生々しい性的なシンボルが隠されている。これは、アルバムに収録された楽曲群が内包する、「Sunday Morning」のような美しいメロディの裏に、「Venus in Furs」のような倒錯した人間の業や社会のタブーが潜んでいるという、二面性を巧みに暗示しています。

この革命的なジャケットによって、アルバムは単なる音楽作品の枠を飛び越え、それ自体がひとつのコンセプチュアル・アート作品としての不滅の地位を確立しました。

ちなみに、この特殊なステッカーの製造には高いコストと技術が必要だったため、アルバムのリリースが大幅に遅れる原因になったとも言われています。

1-5. 歌姫ニコが参加した楽曲

デビューアルバムの正式タイトルが『The Velvet Underground & Nico』となっている通り、この歴史的な作品にはドイツ出身のモデル兼歌手であるニコ(本名:クリスタ・ペーフゲン)がフィーチャリングされています。

しかし、彼女の参加はバンド自身の発案ではなく、プロデューサーであるウォーホルの強い意向によるものでした。

ウォーホルは、ニコの氷のような美貌とヨーロッパ的なミステリアスな雰囲気が、「むさ苦しい」バンドに市場価値のある華やかさを加えると考えたのです。

当初、バンドのソングライターでありリーダーであったルー・リードは、この決定に強く抵抗したと言われています。

しかし、結果としてニコの存在は、このアルバムに唯一無二の深遠な奥行きを与えることに成功しました。

ニコがリードボーカルを務めたのは、以下の3曲です。

  • Femme Fatale(宿命の女): ウォーホルのミューズ、イーディ・セジウィックをモデルに書かれたとされる曲。ニコの感情を排した歌声が、男を破滅させる「運命の女」の冷酷な美しさを見事に表現しています。
  • All Tomorrow’s Parties: ウォーホルのアトリエ「ザ・ファクトリー」に出入りする若者たちの、華やかさとその裏にある虚無感を描いた楽曲。ニコの荘厳でゴシックな歌声が、まるで未来を予言する巫女のように響き渡ります。
  • I’ll Be Your Mirror: 「あなたの鏡になって、本当のあなたを映してあげる」と歌う、驚くほど優しく繊細なバラード。ニコが自身の硬い歌い方を気にしていたところ、リードが「ただそこにいるみたいに、親密に歌ってくれればいい」とアドバイスしたという逸話が残っています。

彼女の重く、どこか非人間的でフラットな歌声は、ルー・リードのニューヨークのストリート感覚あふれるボーカルと鮮烈なコントラストを生み出しました。

ニコという異質な要素が加わったことで、このアルバムは単なるアメリカのロックアルバムという枠を超え、より芸術的でヨーロッパの退廃的な香りすら漂わせる、多層的な傑作へと昇華されたのです。

2. アルバムで聴くヴェルヴェット・アンダーグラウンドの名曲

  • サンデーモーニングの和訳と世界観
  • 名バラード、ペイル・ブルー・アイズ
  • ほかにおすすめ曲は?聴くべき5選
  • 最高傑作はどのアルバム?名盤を紹介
  • まとめ:不朽のヴェルヴェット・アンダーグラウンドの名曲

2-1. サンデーモーニングの和訳と世界観

数々の過激な楽曲で知られるVUのデビューアルバム。

その幕開けを飾る「Sunday Morning」は、意外にも彼らの楽曲の中で最も優しく、美しい曲の一つとして広く知られています。

グロッケンシュピール(鉄琴)のキラキラとした可憐な音色と、ルー・リードのささやくように柔らかな歌声は、まるで穏やかな日曜の朝の光そのもののようです。

しかし、その夢のように美しいサウンドとは裏腹に、歌詞を深く読み解くと、決して穏やかではない世界観が広がっています。

和訳された歌詞は、日曜の朝に特有の気だるさや、土曜の夜の喧騒の後に訪れる虚無感を静かに描いています。

「Sunday Morning」の歌詞が描く二面性

歌詞の中には、「Early dawning, Sunday morning / It’s just a restless feeling by my side(夜明けの始まり、日曜の朝 / ただ落ち着かない気持ちがそばにあるだけ)」といった、心地よい倦怠感が漂っています。しかし、曲の後半に登場する「Watch out, the world’s behind you / There’s always someone around you who will call / It’s nothing at all(気をつけろ、世界が君の背後にある / いつだって君を呼ぶ誰かが周りにいる / なんてことないさ)」という一節には、どこか被害妄想的(パラノイド)な不穏な影が忍び寄ります。この甘美なサウンドと、その裏に潜む漠然とした不安の同居こそが、この曲に抗いがたいほどの奥深い魅力を与えているのです。

実はこの曲は、プロデューサーのトム・ウィルソンが「アルバムからヒットシングルを出したい」という商業的な意図で、後から追加でレコーディングされたものでした。

しかし結果的に、その美しさの中にわずかな毒を含むこの曲は、これから始まるアルバム全体の過激で多面的な内容を完璧に予感させる、最高の序章として機能することになりました。

2-2. 名バラード、ペイル・ブルー・アイズ

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「Pale Blue Eyes」は、1969年にリリースされたセルフタイトルの3rdアルバムに収録された、VUのカタログの中でも際立って美しく、そして切ない名バラードです。

この曲は、2ndアルバム『White Light/White Heat』で見せた暴力的なまでのノイズサウンドから劇的な方向転換を遂げ、バンドの繊細で静謐、そして内省的な側面を強く印象付けました。

この大きな音楽性の変化には、バンドのサウンドに前衛的で過激な要素をもたらしていた中心人物、ジョン・ケイルの脱退が決定的な影響を与えています。

彼が去った後、バンドの創造的な主導権を完全に掌握したルー・リードは、自身のルーツであるソングライティング、物語性、そしてパーソナルな感情の機微を深く掘り下げる方向へと舵を切りました。

「Pale Blue Eyes」は、ルー・リードがシラキュース大学時代に深く愛したものの、別の男性と結婚してしまった女性、シェリー・アルビンについて歌った、極めて個人的な楽曲であると言われています。

そのシンプルで心に染み入るメロディと、「もし俺がもう一度やり直せるなら / きっとお前をがっかりさせるだろう / そしてお前の淡いブルーの瞳の中に飛び込むだろう」という痛切な歌詞は、時代を超えて多くの人々の共感を呼び、R.E.M.やパティ・スミスをはじめとする数多くの後進アーティストによって敬意を込めてカバーされてきました。

この曲の魅力は、ルー・リードとスターリング・モリソンが奏でる2本のクリーンなトーンのギターが、まるで会話するように繊細に絡み合うアレンジにあります。

派手な展開はありませんが、聴くほどにその情景や感情が深く心に刻まれていく、まさに大人のための永遠の失恋ソングと言えるでしょう。

2-3. ほかにおすすめ曲は?聴くべき5選

これまで紹介してきた代表的な名曲以外にも、VUのディスコグラフィには、彼らの多面的で底知れない魅力を伝える重要な楽曲がまだまだ存在します。

ここでは、バンドの音楽性の幅広さをより深く理解するために、特におすすめしたい5曲を厳選してご紹介します。

曲名収録アルバム特徴と聴きどころ
Venus in FursThe Velvet Underground & NicoSM文学の古典『毛皮を着たヴィーナス』に直接的なインスパイアを受けた、背徳的で官能的な楽曲。ジョン・ケイルが奏でるエレクトリック・ヴィオラの持続音(ドローン)と、モーリン・タッカーの単調で呪術的なドラムが、聴く者を倒錯した儀式へと誘います。
White Light/White HeatWhite Light/White Heatアンフェタミン(覚醒剤)の使用による暴力的な高揚感を、猛烈なスピードと歪んだギターサウンドで表現した、プロトパンクの聖典。後のパンクロッカーたちが教科書にした、わずか2分47秒の音の爆発です。
What Goes OnThe Velvet Underground (3rd)ジョン・ケイル脱退後、新メンバーのダグ・ユールが加入して制作された3rdアルバム収録曲。ユールが奏でる軽快なオルガンの音色と、ポップで開放的なメロディが印象的で、バンドの新時代を象徴する一曲です。
Sister RayWhite Light/White Heat収録時間17分28秒に及ぶ、即興演奏によるノイズの叙事詩。ドラッグ、暴力、乱交、殺人が入り乱れる退廃的なパーティーの様子を、延々と続く2コードの上で描き切った、バンド史上最もカオスで実験的な楽曲。後のノイズロックやシューゲイザーの源流とも言われます。
All Tomorrow’s PartiesThe Velvet Underground & Nicoニコがリードボーカルを務める、荘厳でドラマティックな一曲。繰り返されるピアノのモチーフと、ニコのゴシックな歌声が、ウォーホルのファクトリーに集う若者たちの華やかさと、その後に訪れるであろう虚無的な未来を予見しているかのようです。

これらの楽曲に触れることで、VUが単なる「アンダーグラウンドなロックバンド」という言葉だけでは到底括ることのできない、ポップ、フォーク、ノイズ、現代音楽、そして前衛芸術といったあらゆる文化的要素を内包した、極めて特異で多面的な表現集団であったことが、より深く理解できるはずです。

2-4. 最高傑作はどのアルバム?名盤を紹介

「ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの最高傑作はどのアルバムか?」という問いは、長年にわたり多くのファンや音楽批評家の間で交わされてきた永遠のテーマです。

しかし、その圧倒的な革新性と、後世の音楽シーンに与えた測り知れない影響力を考慮すれば、多くの人々が最初の答えとしてデビューアルバム『The Velvet Underground & Nico』を挙げることに異論はないでしょう。

しかし、VUの真の魅力は、各アルバムがそれぞれ全く異なる音楽的アプローチを取り、強烈な個性を放っている点にあります。

したがって、聴く人の好みやその時の気分によって「最高傑作」は変わってくる可能性があります。

ここでは、主要な4枚のオリジナルアルバムそれぞれの特徴を詳しく解説します。

オリジナルアルバムの特徴

  • 1st『The Velvet Underground & Nico』(1967)
    光と影、美しさと醜さ、静寂と轟音が奇跡的なバランスで同居するデビュー作にして金字塔。アートとロックが最も高い次元で融合した、ロックミュージックの歴史を永遠に変えてしまった預言の書です。この一枚がなければ、その後のポピュラー音楽の地図は全く違うものになっていたでしょう。
  • 2nd『White Light/White Heat』(1968)
    バンド史上、最も過激で、最もノイジー、そして最も実験的な問題作。意図的に歪ませた録音により、すべての音が飽和し、まるでリスナーの鼓膜を直接攻撃するようなサウンドは、まさに「音の暴力」。この純粋な狂気の結晶のようなアルバムを最後に、前衛性を担っていたジョン・ケイルがバンドを去ります。
  • 3rd『The Velvet Underground』(1969)
    前作の嵐のような轟音から一転、驚くほど静かで内省的な楽曲が並ぶ、親密な雰囲気のアルバム。「Pale Blue Eyes」に代表されるように、ルー・リードのソングライターとしての優れた才能と、繊細なメロディ、そして物語をじっくりと聴かせる作風が前面に出ています。疲れた夜に寄り添ってくれるような優しさを持つ一枚です。
  • 4th『Loaded』(1970)
    移籍したアトランティック・レコードから「ヒット曲で満載(loaded with hits)のアルバムを」という要求に応える形で制作された、最もポップで商業的な作品。「Sweet Jane」や「Rock & Roll」といった、時代を超えて愛される不朽のロックアンセムを収録しており、VU入門としても最適です。しかし、このアルバムの完成を待たずして、ルー・リードはバンドを脱退してしまいます。

幻の5thアルバム『Squeeze』について

1973年にThe Velvet Underground名義で『Squeeze』というアルバムがリリースされています。

しかし、これはルー・リードをはじめとするオリジナルメンバーが一人も参加しておらず、実質的には後期のメンバーであるダグ・ユールのソロ作品と見なされています。

そのため、熱心なファンの間でもVUの正典ディスコグラフィの一部としては扱われないのが一般的です。

やはり、まずは音楽史を変えた衝撃を体感できるデビュー作から聴き始めるのが王道と言えます。

しかし、もしあなたがノイジーな音楽に抵抗があるなら、メロディアスな3rdやポップな4thから入るのも賢明な選択です。

それぞれのアルバムを聴き比べ、あなたにとっての「最高傑作」を見つけ出す旅もまた、VUの音楽を深く楽しむための醍醐味の一つなのです。

2-5. まとめ:不朽のヴェルヴェット・アンダーグラウンドの名曲

  • VUはセールスではなく後世への絶大な影響力で評価されるバンド
  • ブライアン・イーノの「誰もがバンドを始めた」という言葉がその影響力を示す
  • 音楽的にはノイズやドローンといった前衛芸術の要素をロックに導入
  • 歌詞の面ではドラッグや性、疎外感など社会のタブーを赤裸々に描いた
  • ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルとの出会いがバンドの運命を決定づけた
  • ウォーホルはバンドを外部の干渉から守る「盾」の役割を果たした
  • デビュー作の剥がせるバナナのジャケットはポップアートの象徴的作品
  • ドイツ人モデルのニコの参加がデビュー作にヨーロッパ的な退廃美を与えた
  • 代表曲「Heroin」はドラッグ体験を音楽で疑似的に表現した大作
  • 「I’m Waiting for the Man」は都市のリアリティを切り取ったロックンロール
  • 「Sunday Morning」は美しいサウンドの裏に潜む不安を描いた名曲
  • 名バラード「Pale Blue Eyes」はルー・リードの個人的な失恋体験が基になっている
  • 2nd『White Light/White Heat』はバンド史上最も過激でノイジーな問題作
  • 3rd『The Velvet Underground』はジョン・ケイル脱退後の内省的で静かな作風
  • 4th『Loaded』は「Sweet Jane」など最もポップで聴きやすい楽曲を収録
  • 彼らの音楽は後のパンク、オルタナティブ、インディーロックの直接的な源流となった
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この記事を書いた人

はじめまして!
\ ブログ管理人の「TAKU」です /

50代後半、ブログ運営とWebライティングに取り組んでいます。
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ロックバンド活動や健康管理法

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