2025年7月24日、全国各地でクマの目撃情報や被害が報じられました。
特に「クマ外傷」という言葉が示すように、クマによる攻撃が想像以上に凄惨であることが改めて浮き彫りになっています。
「クマ外傷」の実態:九州以外ならどこでも起こりうる?
近年、全国的にクマの出没が増え、人身被害も後を絶ちません。
7月21日には農作業中の男性が頭に大けがを負い、7月12日には北海道福島町で新聞配達員が、4年前にも人を死亡させたクマに襲われ命を落としました。
7月4日には岩手県北上市で自宅の居間で女性が死亡するなど、クマが出没する地域だけでなく、栃木県那須塩原市の観光客が噛まれたり、宮城県でゴルフ大会が中止になったりするなど、誰がどこで襲われてもおかしくない事態が続いています。
このような状況を受け、クマによる外傷や治療法をまとめた医学書『クマ外傷 クマージェンシー・メディシン』が注目を集めています。
この本は、秋田大学医学部付属病院の医師らが、ツキノワグマによる人身被害が多発する秋田県での多くの治療経験を基にまとめたもので、世界的にも珍しい大型動物による外傷に特化した専門書です。
編著を務めた秋田大学医学部救急・集中治療医学講座の中永士師明教授は、「2023年は全国でクマの出没が多く、秋田県では全国最多となる70人が被害にあい、例年の5倍以上の21人の負傷者を秋田大学医学部付属病院が受け入れました。
いまやクマによる被害は、九州以外ならどこでも起こりえる」と警鐘を鳴らしています。
生存しても後遺症に苦しむ「クマ外傷」
報道では「幸い命に別条はない」と伝えられることが多いクマによる外傷ですが、実際には高所転落や電車事故と同様に凄惨なものが多く、救命できても後遺症に長く苦しむ人が少なくありません。
不眠やせん妄、心的外傷後ストレス症(PTSD)など精神的な問題を抱える人も多いといいます。
中永教授によると、クマ外傷患者の9割が顔面を負傷しており、顔面骨骨折や眼球破裂なども見られます。
頭部(60%)では頭蓋骨骨折や硬膜下血腫なども確認されています。
これは、クマが威嚇する際に立ち上がり、鋭い爪のある手で人の顔あたりを払おうとし、その後牙のある口で噛んでいく動物の習性によるものと考えられています。
実際に、顔面中央部を食いちぎられた70代男性の症例も報告されており、搬送時に引き裂かれた顔面が回収され、再接合手術によって生着した事例もあります。
これは適切な治療が施されれば治る可能性を示していますが、眼球が破裂して失明してしまうケースは、現在の医学では治せない現実もあります。
クマに襲われた時の対処法
中永教授は、ツキノワグマに襲われそうになった場合、「地面にうつ伏せになって首の後ろを両手でガードし、頭や顔を狙われないように防御姿勢を取るしかない」とアドバイスしています。
クマは人間を食べるために積極的に近づいてくるわけではないため、その姿勢のままクマが去るのを待つのが良いとされています。
実際にこの姿勢で顔面へのけがを免れた事例もあるとのことです。
各地でのクマの被害と目撃情報
まとめ:警戒と知識の重要性
今年のクマによる人身被害は、ドングリなどの餌の凶作だった2023年と酷似しており、今後もクマの出没増加が予想されます。
クマによる被害は、都市部近くでも発生しており、もはや特定の地域だけの問題ではありません。
クマの生態や、万が一遭遇した場合の適切な対処法を知り、常に警戒を怠らないことが、私たち自身の命を守るために極めて重要です。



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