2025年7月22日、各地でクマに関する様々な情報が報じられました。
北海道では登山者による危険行為が問題視され、各地でクマの目撃情報や人身被害が続いています。
北海道大雪山系白雲岳で登山客による危険行為
7月13日、北海道の大雪山系白雲岳で、登山客がクマに対して危険な行為を行う様子が撮影されました。
登山道脇で餌を探すクマに対し、一人の男性が約20mの距離まで自ら接近し、クマよけスプレーを噴射したのです。
さらに、他の登山者もクマに近づいて写真撮影を行うなど、必要以上にクマを刺激する行為が見られました。
撮影者は「必要以上にクマを刺激する行為は非常に危険なのでやめてほしい」と訴えています。
クマよけスプレーは最終手段であり、むやみに使用することはクマを興奮させ、かえって危険な状況を招く可能性があります。
このような行為は、クマだけでなく他の登山者をも危険に晒すことになりかねません。
各地でのクマの目撃情報と人身被害
- 福井県丹生郡越前町笹川: 7月22日午前10時10分頃、県道3号福井大森河野線付近で成獣のクマ1頭が目撃されました。
- 秋田県仙北市角館町下延: 7月21日午後8時20分ごろ、クマが出没したと報告がありました。
これらの目撃情報に加え、全国各地でクマによる人身被害が相次いでいます。
- 栃木県那須塩原市: 3週間で3件の人身被害が発生しており、7月6日には85歳の男性が裏庭で草刈り中にクマに襲われ、ズボンが破けるほどの傷を負いました。男性は物音もなく突然襲われたと証言しています。6月30日にも別の住民が大けがを負う被害があり、車がへこむほどの衝撃だったといいます。観光地である那須塩原市でも「熊出没注意」の看板が掲示され、観光客や住民の不安が広がっています。
- 岩手県: 盛岡市で81歳男性が、北上市では高齢女性が自宅居間でクマに襲われ死亡しました。
なぜクマは人里に現れるのか?専門家の見解
酪農学園大学の佐藤喜和教授によると、ヒグマが町に現れる要因として、エゾシカの増加による交通事故死骸が挙げられます。
エゾシカの死骸はヒグマにとって魅力的な餌となり、それを求めて人里に誘引される可能性があるといいます。
実際、エゾシカが関係する交通事故は過去最多を更新し続けており、昨年は5460件にのぼりました。
また、人間の出す生ゴミも大きな誘引源です。
山の中のどんな食べ物よりも美味しく消化しやすいため、クマが生ゴミを狙って町に下りてくるケースが多いと指摘されています。
福島町でもスーパーのゴミ置き場が荒らされる痕跡が確認されています。
佐藤教授は、「人を目指していたわけではなく、ゴミを狙って食べていた状況。ばったり出会った人に対して、攻撃的な行動をとってしまった」と分析しています。
まとめと今後の課題
今回の複数のクマ関連ニュースは、人里でのクマの出没が増加傾向にあること、そしてそれが人身被害に直結している現実を浮き彫りにしています。
登山者による不用意な行動はクマを刺激し、危険な事態を招くため厳に慎むべきです。
また、クマが人里に近づく要因として、エゾシカの死骸や人間の生ゴミが挙げられており、これらの管理徹底がクマ対策の喫緊の課題となっています。
クマとの共存は容易ではありませんが、私たち人間側がクマの生態を理解し、適切な対策を講じることが、これ以上の悲劇を防ぐために不可欠です。



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