スーパーバンタム級4団体統一王者、井上尚弥(大橋)がムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に大差判定勝ちを収めた一戦から1週間が経過したが、その波紋は広がり続けている。
敗者の弁、専門家の分析、そしてプロモーターやライバルたちの様々な反応が報じられた。
敗者アフマダリエフの“誤算”と本音
井上尚弥に圧倒された前WBA暫定王者ムロジョン・アフマダリエフは、試合前に立てていた作戦がことごとく裏目に出たと明かした。
英国人ライター、トム・グレイ氏のインタビューに応じたアフマダリエフは、近年の井上の攻撃的なスタイルを予測し、カウンターを狙っていたという。
しかし、井上が見せたのは完璧なアウトボクシングであり、反撃の機会をほとんど与えられなかった。
アフマダリエフは「イノウエが猛攻を仕掛けてくる、と思った」と語り、自身の得意な展開に持ち込めなかったことを認めた。
さらに、セミファイナルがKOで早く終わった影響で「ウォームアップの時間が十分取れなかった」と、準備段階での不満も口にしたという。
試合に全てを捧げてきただけに、その落胆は大きかったが、「私は戻ってくる」と再起を誓った。
長谷川穂積が感じた「警戒心マックス」の理由
この試合を実況席で解説した元3階級制覇王者の長谷川穂積氏は、アフマダリエフが攻めきれなかった理由を的確に分析している。
長谷川氏は、井上が立ち上がりに放った「一発目のジャブ」が勝負の鍵だったと指摘。
あれでパンチの質の違いを感じたアフマダリエフは「警戒心がマックスになりすぎ、そのあと手が出なくなった」と見る。
また、「なぜ接近戦を仕掛けなかったのか」という疑問に対し、「たとえ接近戦に持ち込んでも勝機を見いだせなかったと思う。井上選手はパンチが強いし、ボディブローも的確。接近戦をしても厳しいと感じたのではないか」と、アフマダリエフの心情を推察した。
さらに長谷川氏は、井上が最後まで貫いたアウトボクシングについて、同日に行われたテレンス・クロフォード対サウル・“カネロ”・アルバレス戦の影響を指摘。
井上自身も試合後の会見でクロフォードの戦い方を参考にしていたと明かしており、スーパースターの戦術を即座に取り入れる対応力の高さも浮き彫りになった。
PFP3位後退? アラム氏は「世界最高」と不満を示唆
井上尚弥が3位?最新PFPランキングを選定委員ご本人が解説 https://t.co/rgmwZZRITG via @YouTube
— Daisuke Sugiura 杉浦大介 (@daisukesugiura) September 18, 2025
アフマダリエフに完勝したにもかかわらず、権威ある「リング」誌のパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングで、井上は1位から3位に後退した。
これに対し、共同プロモーターであるボブ・アラム氏がSNSを通じて不満を示唆した。
アラム氏は、井上とリング上で肩を組む写真と共に「世界最高ファイター」「誰にも負けない」と投稿。
ランキングに直接言及はしていないものの、クロフォードやウシクの下にランクされたことへの異議を唱え、改めて井上こそが「世界最高」であると強調した形だ。
因縁のカシメロが復帰「井上選手に興味がない」発言の真意は
カシメロvs京之介 実現。果たして勝者は? pic.twitter.com/XH0D5VHDmN
— 亀田興毅 (@koki_kameda1117) September 19, 2025
一方、長らく井上尚弥を挑発し続けてきた元世界3階級制覇王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)が、約1年ぶりの復帰戦を発表した。
10月25日に亀田京之介と対戦するカシメロは、会見で「もう井上選手に興味がない」と発言。
しかし、その言葉とは裏腹に「(アフマダリエフ戦は)苦労していたね。
俺だったら早いラウンドでKOする」「1回か2回KOで勝てば井上選手も興味を持ってくれるかな」と、井上への強い対抗意識を隠さない。
現在は世界王座から遠ざかっているため、まずは返り咲きを目指す構えだが、その視線の先に井上尚弥がいることは明らかだ。
井上が12月にアラン・ピカソとの防衛戦、さらに2026年5月には中谷潤人との日本人対決が計画される中、カシメロが入り込む隙は当面なさそうだが、再起戦でどのようなパフォーマンスを見せるか注目される。
侍の夜がやって来る… 日本が世界に挑む 🇯🇵
— TURKI ALALSHIKH (@Turki_alalshikh) September 18, 2025
リングV:侍の夜
井上尚弥 vs アラン・ピカソ ⚔️
日本最高のボクサーたちが一堂に会する一日。
史上最高の日本カードと称される豪華イベント🔥
これまで一度も同じカードで集結したことのない、史上最強の日本ボクシングの夜。… pic.twitter.com/nbfwgCjYgf
#JuntoNakatani
— ボクシングビート (@beat_macc) September 21, 2025
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